身体障害者保護費負担金(以下「負担金」という。)は、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)に基づき、身体障害者の福祉の増進を図ることを目的として、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、都道府県知事の指定する身体障害者更生施設等から身体障害者施設支援等を受けた身体障害者に対して、施設訓練等支援費等を支給した場合等に、その費用の一部を国が負担するものである。
そして、施設訓練等支援費等の費用は、施設支援に係る身体障害者施設訓練等支援費のほかに、特定入所者食費等給付費等から成っている。
負担金の交付額は、交付要綱等に基づき、施設訓練等支援費等などの種目ごとに次のように算定することとなっている。
〔1〕 所定の方式によって算定した基準額と、対象経費の実支出額から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 施設訓練等支援費等を含む一部の種目については、〔1〕 により選定された額から、所定の方式によって算定した身体障害者等が負担する額等を控除する。
〔3〕 〔1〕 又は〔2〕 により算定された額を国庫負担対象事業費として、これに補助率10分の5を乗じて得た額を交付額とする。
本院が、18都府県の109市区町において会計実地検査を行ったところ、2都県の2市区において、負担金の算定に当たり、誤って対象経費を二重に計上したり、対象外経費を計上したりなどしていたため、負担金5,694,400円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2市区において、国庫負担対象事業費の算定に当たり、対象経費の実支出額の調査確認が十分でなかったこと、厚生労働省において、事業主体に対する適正な事務処理の執行についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
東京都練馬区は、対象経費の実支出額の算定に当たり、特定入所者食費等給付費に計上した額を、誤って身体障害者施設訓練等支援費にも計上していたため、対象経費が二重に計上されるなどしていた。
この結果、国庫負担対象事業費が6,287,837円過大に算定されており、これに係る負担金3,143,919円が過大に交付されていた。
以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(289) | 東京都 | 練馬区 | 18 | 303,899 | 151,949 | 6,287 | 3,143 | 経費を二重に計上していたものなど |
(290) | 大分県 | 大分市 | 18 | 456,945 | 228,472 | 5,100 | 2,550 | 対象外経費を計上していたものなど |
(289)(290)の計 | 760,844 | 380,422 | 11,388 | 5,694 |