労働災害防止対策費補助金(以下「補助金」という。)は、労働災害防止団体法(昭和39年法律第118号)に基づき、労働災害の防止を図ることを目的として設立された団体に対して、労働災害の防止に関する技術的な事項について指導及び援助を行うなどの労働災害防止対策事業(以下「補助事業」という。)の実施に要する経費(以下「補助対象経費」という。)の一部を国が補助するものである。
港湾貨物運送事業労働災害防止協会(以下「協会」という。)は、港湾貨物運送事業に係る労働災害の防止を図ることを目的として設立されており、補助事業の実施に当たり国から補助金の交付を受けている。
本院が、補助金について協会において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(291) | 厚生労働本省 | 港湾貨物運送事業労働災害防止協会 | 17〜21 | 1,453,419 | 1,165,224 | 30,268 | 30,148 | 精算過大 |
協会は、平成17年度から21年度までの間に、補助事業として実施した港湾貨物運送事業の事業主及び労働者に対する安全衛生に関する研修会の開催に際して、参加者から参加費を徴収して研修会の開催経費を上回る計105,551,960円の収入を得ていたにもかかわらず、これを考慮することなく研修会の開催経費計50,978,712円のうち計28,969,491円を補助対象経費に含めるなどしていたため、補助対象経費計30,268,626円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金計30,148,200円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、協会において、補助金の適正な会計経理に対する認識が十分でなかったこと、厚生労働省において、協会から提出された事業実績報告書等の審査及び確認並びに協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。