産業医学助成費補助金(以下「補助金」という。)は、産業医学の振興を図り、労働者の健康管理の充実に資するため、財団法人産業医学振興財団(以下「振興財団」という。)が自ら又は医師会に委託して行う産業医の資質の向上等に要する経費及び振興財団が学校法人産業医科大学(以下「医科大学」という。)に対しその運営等に要する経費を補助するために要する経費の一部を国が補助するものである。
本院が、補助金について振興財団及び医科大学において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 | 間接補助事業者 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(292) | 厚生労働本省 | 財団法人産業医学振興財団(事業主体) | — | 17〜21 | 12,390,317 | 9,049,908 | 6,744 | 6,744 | 精算過大 |
財団法人産業医学振興財団 | 学校法人産業医科大学(事業主体) | 17〜21 | 36,160,431 | 23,268,386 | 1,106 | 1,106 | 同 | ||
計 | 48,550,748 | 32,318,294 | 7,851 | 7,851 |
ア 振興財団は、平成17、18両年度における補助対象経費に、委託により実施した産業医の研修事業に係る経費を含めていたが、この経費には、領収書等による支払の事実の裏付けがなく当該事業に要したとは認められない経費4,609,528円が含まれていた。
イ 振興財団は、17年度から21年度までの各年度における補助対象経費に、補助の対象とは認められない会議の開催に伴う昼食代等の経費計2,135,205円を含めていた。
ウ 医科大学は、17年度から21年度までの各年度における補助対象経費に、補助の対象とは認められない懇親会に係る飲食費等の経費計1,106,786円を含めて、振興財団から補助金の交付を受けていた。
したがって、適正な補助対象経費を算定すると計48,542,896,481円となり、補助対象経費計7,851,519円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金計7,851,519円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、振興財団において、補助金の適正な会計経理に対する認識が十分でなかったり、医科大学から提出された実績報告書等の審査及び確認並びに医科大学に対する指導が十分でなかったりしたこと、医科大学において、補助金の適正な会計経理に対する認識が十分でなかったこと、厚生労働省において、振興財団から提出された実績報告書等の審査及び確認並びに振興財団に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。