産地づくり事業及び産地づくり特別加算事業(以下「産地づくり事業等」という。)は、地域水田農業推進協議会(以下「地域協議会」という。)が、水田農業構造改革対策実施要綱(平成16年15生産第7999号農林水産事務次官依命通知。以下「実施要綱」という。)等に基づき、需要に応じた作物生産を推進するなどのため、転作作物の作付けなどの取組を行った農業者に対して助成金を交付するものである。
実施要綱等によると、地域協議会は、助成金の交付に当たり、農業者の転作作物の作付けなどの取組が都道府県水田農業推進協議会(以下「都道府県協議会」という。)の承認を得て定めた産地づくり計画書の助成要件を満たしていることを確認することとされている。
そして、農林水産省は、実施要綱等に基づき、都道府県協議会が産地づくり事業等を行う地域協議会に交付する助成金の財源として、都道府県協議会に交付金を交付して資金を造成させている。
本院が、兵庫県水田農業振興協議会(以下「兵庫県協議会」という。)及び上郡町地域水田農業推進協議会(以下「上郡町地域協議会」という。)において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(314) | 近畿農政局 | 兵庫県水田農業振興協議会 | 上郡町地域水田農業推進協議会 (事業主体) |
産地づくり及び産地づくり特別加算 | 18、19 | 154,632 | 154,632 | 5,511 | 5,511 |
上郡町地域協議会は、平成18、19両年度に、産地づくり事業等として、延べ1,336名の農業者による大豆、麦等の作付けなどの取組が産地づくり計画書の助成要件を満たしていることを確認したとして、これらの農業者に対して計154,632,832円の助成金を交付していた。
しかし、上郡町地域協議会は、上記農業者のうち1名が、大豆の作付けなどの取組において、助成要件である肥培管理(注)
を十分に行っておらず、大豆の出荷量が皆無であったのに、当該農業者に助成金計5,511,310円を交付していた。
したがって、当該農業者の取組は、助成金の交付の対象とは認められず、当該農業者に交付された助成金計5,511,310円(交付金相当額同額)が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、上郡町地域協議会において、当該農業者の取組が助成要件を満たしていることの確認を十分に行っていなかったこと及び産地づくり事業等の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、近畿農政局及び兵庫県協議会において、上郡町地域協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。