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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

仕入税額控除した消費税額に係る交付金を返還していなかったもの


(3) 補助金を過大に受給するなどしていたもの

7件 不当と認める国庫補助金 12,950,882円

仕入税額控除した消費税額に係る交付金を返還していなかったもの

(5件 不当と認める国庫補助金 9,134,660円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
        千円 千円 千円  千円
(318) 九州農政局 熊本県 熊本市

飽田茄子第六生産管理組合
(事業主体)
農業・食品産業強化対策整備交付金 17 179,340 89,670 4,712 2,356
(319) 熊本市

松尾茄子生産管理組合
(事業主体)
17 111,090 55,545 4,323 2,161
(320) 熊本市

天明茄子生産管理組合
(事業主体)
17 87,990 43,995 3,369 1,684
(321) 熊本市

天明茄子第二生産管理組合
(事業主体)
20 153,321 75,900 2,489 1,232
(322) 八代市

はなまるトマト生産組合
(事業主体)
17 192,150 96,075 3,398 1,699
(318)−(322)の計 723,891 361,185 18,294 9,134

 これらの交付金事業は、事業主体である5組合が、減農薬栽培に取り組み、安定生産と生産量の増加を図ることなどにより、産地の競争力を強化することを目的として、低コスト耐候性ハウスの整備を行ったものである。
 そして、5組合は、本件交付金事業を消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)を含め、事業費計723,891,000円(交付金交付額計361,185,000円)で実施したとして熊本市又は八代市に実績報告書を提出して、これにより交付金対象事業費の精算を受けていた。
 消費税は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生ずるが、生産及び流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)する仕組みが採られている。
 そして、交付金事業の事業主体が交付対象の施設等を取得することも課税仕入れに該当して、上記の仕組みにより確定申告の際に交付金事業で取得した施設等に係る消費税額を仕入税額控除した場合には、事業主体は当該施設等に係る消費税額を実質的に負担していないことになる。
 また、事業主体が民法(明治29年法律第89号)上の組合契約による組合(以下「民法上の組合」という。)の場合、民法上の組合を構成する事業者は、その持分等に応じて納税義務が生ずることとなることから、上記と同様に、その持分等に応じた課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除した場合には、当該消費税額を実質的に負担していないことになり、事業主体である民法上の組合も同様に負担していないことになる。
 このため、交付金事業の事業主体は、「強い農業づくり交付金交付要綱」(平成17年16生産第8261号農林水産事務次官依命通知)等により、実績報告書の提出に当たり、仕入税額控除した消費税額に係る交付金の額が明らかな場合には、これに相当する額を減額して報告しなければならず、また、実績報告書の提出後に消費税の確定申告により仕入税額控除した消費税額に係る交付金の額が確定したときには、その金額を速やかに報告するとともに、当該金額を返還しなければならないこととされている。
 そして、前記の5組合は民法上の組合に該当することから、5組合を構成する22名のうち16名が、平成18年2月から22年3月までに、その事業の持分等に応じて消費税の確定申告を行い、本件交付金事業に係る消費税計18,294,066円を仕入税額控除していた。
 しかし、5組合は、上記の仕入税額控除した消費税額計18,294,066円に係る交付金額計9,134,660円について、実績報告書の提出に当たり減額して報告をしておらず、また、実績報告書提出後の報告及び返還をしておらず、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、5組合において交付金事業における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、熊本県、熊本市及び八代市において本件交付金事業における消費税の取扱いについての各組合に対する指導、審査及び確認が十分でなかったこと、九州農政局において本件交付金事業における消費税の取扱いについての熊本県に対する指導、審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

 天明茄子生産管理組合は、平成17年度に、本件交付金事業を消費税を含めて事業費87,990,000円(交付金交付額43,995,000円)で実施し、18年5月に熊本市に実績報告書を提出して、これにより交付対象事業費の精算を受けていた。
 そして、同組合は、民法上の組合に該当することから、同組合を構成する個人事業者3名が18年2月又は3月に消費税の確定申告を行い、本件交付金事業に係る消費税額計3,369,952円を仕入税額控除していた。
 しかし、同組合は、上記の仕入税額控除した消費税額計3,369,952円に係る交付金の額1,684,976円について実績報告書の提出に当たり減額して報告をしておらず、また、その後においても、報告及び返還をしていなかった。