部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(333) | 北陸農政局 | 18地域担い手育成総合支援協議会 (事業主体) |
— | 地域担い手経営基盤強化総合対策実験 | 20 | 1,854,266 | 577,864 | 774,451 | 245,865 |
地域担い手経営基盤強化総合対策実験事業(以下「実験事業」という。)は、農林水産省が、地域担い手経営基盤強化総合対策実験事業実施要綱(平成19年18経営第7724号農林水産事務次官依命通知。以下「実施要綱」という。)等に基づき、望ましい農業構造の実現に資するため、農業用機械、施設及び土地基盤の整備を行う農業の担い手に対する助成事業等を実施する地域担い手育成総合支援協議会(以下「地域協議会」という。)に対して国庫補助金を交付するものである。
実施要綱等によると、地域協議会は、実験事業の実施に当たり、地域の合意に基づき、地域農業の構造改革に関する成果目標等の事項を定めた地域構造改革プロジェクト整備計画(以下「整備計画」という。)を作成して地方農政局長等の承認を受けることとされている。また、地方農政局長等は、提出された整備計画の内容について、成果目標が望ましい水準にあるか、事業の実施効果が十分に見込まれるか、地域の合意形成が図られているかなど、地域担い手経営基盤強化総合対策実験事業実施要領(平成19年18経営第7725号農林水産省経営局長通知)で定められた要件が満たされているかの審査・確認を行い、その全てが満たされている場合には、当該整備計画を承認することとされている。
そして、担い手育成・確保対策事業費等補助金交付要綱(平成12年12構改B第350号農林水産事務次官依命通知)によると、実験事業は、地方農政局長等による整備計画の承認を受けて実施する事業に要する経費を補助対象経費とすることとされている。
北陸農政局は、平成20年度に、新潟、富山、石川、福井各県に所在する18地域協議会(注)
が事業費計1,854,266,158円で実施した実験事業について、国庫補助金計577,864,000円を交付し、21年3月に18地域協議会から実績報告書の提出を受け、同年4月に同額で額の確定を行っている。
本院が、同農政局及び18地域協議会において、本件補助事業について会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
すなわち、18地域協議会は、20年10月に同農政局が行った実験事業の20年度第2次募集にそれぞれ応募し、同年12月に同農政局から予算の配分通知を受けたことから、21年1月に、所在する各県の担い手育成総合支援協議会を通じて、同農政局に対して整備計画承認申請書を提出していた。そして、18地域協議会は、同月に、同農政局から整備計画を承認したとする通知等をそれぞれ受けていた。
このため、18地域協議会は、21年2月までに、整備計画が承認されたとする年月日を記載した担い手育成・確保対策事業費等補助金の交付申請書等を同農政局に提出し、同年3月までに、同農政局から交付決定の通知を受け、20年度第1次募集分と合わせて国庫補助金計577,864,000円(うち20年度第2次募集分に係る国庫補助金相当額計245,865,843円)の交付を受けていた。
しかし、23年1月に実施した会計実地検査の際に本院が確認したところ、同農政局では、20年度第2次募集分に係る整備計画承認申請書及び整備計画の承認に係る北陸農政局長の決裁文書が所在不明となっており、地方農政局行政文書管理規程(平成12年12地第1080号大臣官房地方課長通知)に定められた文書原簿へ登録されていなかった。また、その後の同年9月末の時点においても、当該文書は、なお所在不明となっていた。
そして、前記のように、18地域協議会において、同農政局から整備計画を承認したとする通知等をそれぞれ受けていたことについて、同農政局は、当時実験事業を所掌していた担当部署の職員が、実際には整備計画の承認に必要な北陸農政局長の決裁が行われていなかったのに、18地域協議会に対して、北陸農政局長の印を無断で押印した整備計画承認通知書を渡していたり、同農政局長が整備計画を承認したとする虚偽の連絡を口頭で行っていたりなどしていたことによるとしていた。
したがって、同農政局は、本件補助事業に係る整備計画の適否を適切に判断して承認する事務手続を行わないまま、18地域協議会が実施した事業に対して国庫補助金を交付していて、補助事業に係る国の事務が著しく適正を欠いており、これに係る国庫補助金相当額計245,865,843円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同農政局において、次のことなどによると認められる。
ア 本件補助事業を適正な事務手続により実施することに対する認識が欠けていたこと
イ 本件補助事業の実施に係る内部の事務手続について、進行状況を組織的に管理するよう定めていないなど、内部統制が十分に機能する体制となっていなかったこと