部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(334) | 林野庁 | 茨城県 (事業主体) |
— | 復旧治山 | 20、21 | 72,240 | 36,120 | 15,320 | 7,660 |
この補助事業は、茨城県が、高萩市下手綱地内において、高萩市森林公園内の保安林にある法面に地すべり対策施設等を整備するために、護岸工、アンカー工等を実施したものである。
このうち、護岸工(高さ3.0m又は4.0m、延長80.6m)は、地すべりが発生した地区の法面の安定と法尻に沿った沢部の流水の作用による渓岸の浸食防止を兼ねて、沢部の右岸側の法尻部に、割栗石を詰めた透過性のある鋼製ふとんかご(長さ1.1m〜3.0m、幅2.0m、高さ1.0m)を3段又は4段に積み重ねて設置したものである(参考図参照
)。
そして、本件護岸工については、背面の土砂が流水による吸出しを受けて割栗石の空隙から流出すると、護岸の安定が損なわれるおそれがあることから、鋼製ふとんかごと背面の土砂との間に吸出し防止材(注)
を設置することとしていた。そして、下流側の3段積み区間(延長40.6m)は最下段である1段目の背面から最上段の背面まで、上流側の4段積み区間(同40.0m)は2段目の背面から最上段の背面まで、それぞれ吸出し防止材を設置することとして設計し、これにより施工していた(参考図参照)。
しかし、「河川災害復旧護岸工法技術指針(案)」(社団法人全国防災協会編)によると、本件のように透過性のある護岸工法においては、土砂の吸出しを防止するため、背面の全てに吸出し防止材を設置することが標準とされており、本件護岸工で採用した材料メーカーの設計・施工マニュアル等においても、護岸工の背面に設置する吸出し防止材は、1段目の背面から最上段まで設置することとされている。
このため、本件護岸工のうち4段積み区間については、流水の作用により吸い出された土砂が、吸出し防止材が設置されていない1段目の背面から流出するおそれがあると認められる。
したがって、本件護岸工の4段積み区間(工事費相当額15,320,000円)は、設計が適切でなかったため、護岸の背面土砂が流出してその安定が損なわれるおそれがあり、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額7,660,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
護岸工の概念図
吸出し防止材の配置図
3段積みの区間(延長40.6m) 4段積みの区間(延長40.0m)