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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

家畜飼養管理施設が利活用されておらず、補助の目的を達していなかったもの


(8) 補助の目的を達していなかったもの

1件 不当と認める国庫補助金 6,215,000円

家畜飼養管理施設が利活用されておらず、補助の目的を達していなかったもの

(1件 不当と認める国庫補助金 6,215,000円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
        千円 千円 千円  千円
(335) 近畿農政局 兵庫県 洲本市
洲本市酪農農業協同組合(注)
(事業主体)
畜産物共同利用施設整備 17 13,051 6,215 13,051 6,215
 平成19年1月1日以降は淡路島酪農農業協同組合

 この交付金事業は、洲本市酪農農業協同組合(以下「酪農協」という。)が、洲本市において、労働時間の短縮等により生産性を向上させることなどを目的とした牛の哺育育成における新生産システムの実践及び普及を図るため、家畜飼養管理施設として、哺育牛舎及びこれと一体的に整備する設備である哺乳ロボット(注) を設置したものである。
 そして、酪農協は、地域農業の担い手である農家に同施設を設置して、その利用状況を地域内の農家に展示することにより、地域内における新生産システムの普及を図ることとしていた。
 しかし、酪農協から同施設の管理運営を委託された農家は、哺乳ロボットの一部の機能が故障したことから、代用乳の調合機能しか使用しておらず、子牛に対する哺乳は自ら手作業で行っていて、哺乳ロボットにより哺乳を行ったことを確認できたのは運転を開始した平成18年5月から8月までの約3か月間のみとなっていた。また、酪農協は、同施設の利用状況や展示の実施状況について把握していないなど、同施設を新生産システムの実践及び普及のために利活用しているとはいえない状況になっていた。
 したがって、交付金事業により設置した本件施設は、補助の目的を達しておらず、これに係る交付金6,215,000円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、酪農協において、本件施設を補助の目的に沿って適切に利活用することについての認識が十分でなかったこと、洲本市において、酪農協に対する指導が十分でなかったこと、兵庫県において、同市及び酪農協に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

 哺乳ロボット  子牛の飼養管理において大幅な生産性の向上を可能とする子牛用の自動給餌機で、あらかじめ設定された哺乳プランに従って、内部タンクにセットした粉乳により代用乳を自動で調合したり、ICチップで個体を判別して哺乳が許される子牛に限って自動で哺乳したり、子牛ごとの哺乳量等を記録したりなどするもの