林野庁は、都道府県が国庫補助事業により森林整備と林道整備を内容とする森林整備事業を実施する場合に、事業評価を費用対効果分析の手法により行うとともに、林道整備のみの費用便益比が1以上であることなどを確認している。しかし、林道40路線の整備について費用便益比が過大に算定されており、そのうち、3道県等が施行した林道11路線については、当初に計上していた便益項目を正しく算定すると費用便益比が1を下回っており、本院の検査後の3道県等による再調査結果も含めると更に多くの便益の相違がある事態が見受けられた。
したがって、林野庁において、費用便益比の算定に際して特に便益の算定を正しく行うよう道県等を指導したり、事業評価の基準であるマニュアルについて都道府県等に対して周知徹底を図ったりするよう、林野庁長官に対して平成22年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、林野庁は、本院指摘の趣旨に沿い、22年12月に通知を発出して、費用便益比の算定に際して、特に便益の算定を適切に実施するよう都道府県等を指導するとともに、事業評価の基準であるマニュアルについて、費用対効果分析を実施する際の詳細な説明や具体的な便益の算定方法を記述した指針を作成して周知徹底を図るなどの処置を講じていた。