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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 役務

業務委託契約において、実績を大幅に上回る単価に基づき人件費を算定するなどしていたため、委託費の支払額が過大となっていたもの


(340)(341) 業務委託契約において、実績を大幅に上回る単価に基づき人件費を算定するなどしていたため、委託費の支払額が過大となっていたもの

会計名及び科目 (1) 一般会計 (組織)経済産業局 (項)経済産業局
    エネルギー対策特別会計(電源開発促進勘定)
        (項)電源立地対策費
    特許特別会計   (項)事務取扱費
  (2) 一般会計 (組織)経済産業本省 (項)産業技術振興費
        (項)サービス産業強化費
部局等 (1) 近畿経済産業局    
  (2) 四国経済産業局    
契約名 (1) 近畿地域知財戦略支援人材育成事業に関する委託等3契約(平成18、20両年度)
  (2) 産学等共同研究事業の発掘・評価・事業化支援事業に関する委託等5契約(平成17年度〜19年度、21年度)
契約の概要 (1) 知的財産戦略を支援する人材の育成・確保と中小企業等の知的財産戦略の支援を目的に、研修、訪問指導等の業務を行うものなど
  (2) 産学等共同研究を推進するための技術シーズの発掘、共同研究事業等の評価、事業化支援等の業務を行うものなど
契約の相手方 株式会社マーケティングダイナミックス研究所
契約 (1) 平成18年7月ほか契約3件(随意契約1件、一般競争契約2件)
  (2) 平成17年9月ほか契約5件(随意契約2件、一般競争契約3件)
支払 (1) 平成19年4月ほか    
  (2) 平成18年4月ほか    
支払額
(1) 18,422,466円 (平成18、20両年度)
(2) 27,343,431円 (平成17年度〜19年度、21年度)
45,765,897円  
過大となっていた支払額
(1) 6,504,196円 (平成18、20両年度)
(2) 13,543,409円 (平成17年度〜19年度、21年度)
20,047,605円  

1 契約の概要

(1) 委託契約の概要

 近畿、四国両経済産業局(以下「両局」という。)は、平成17年度から21年度までの間に、知的財産戦略を支援する人材の育成・確保と中小企業等の知的財産戦略の支援を目的とした研修、訪問指導等の業務に係る委託契約等計8件の契約を株式会社マーケティングダイナミックス研究所(以下「会社」という。)と締結している。

(2) 委託契約における人件費の算定等

 委託契約書等によると、委託費は、委託業務に従事する者の人件費、事業費、一般管理費等の経費の区分ごとに定めた上限額の範囲内で、実際に委託業務の実施に要した経費の額により確定することとなっている。このうち、人件費は、委託業務に従事した者に対する給与等の支払実績を基に算出した1時間当たりの人件費単価(以下「実績単価」という。)に、委託業務に従事した時間数を乗じて算定することが原則とされているが、受託者があらかじめ業務を受託する際の1時間当たりの人件費単価として規程等に定めている単価(以下「受託単価」という。)がある場合は、受託単価に基づき人件費を算定することとされている。ただし、実績単価と受託単価との間に大幅なかい離が見受けられる場合は、十分に精査し、妥当と判断する場合のみ受託単価に基づき人件費を算定し、委託費を支払うこととされている。また、受託者は、委託業務に従事した者ごとの従事時間数について、勤務実態を反映した業務日誌に基づき集計することとされている。
 そして、両局は、実績報告書に記載された委託業務の実施に要した経費を、証ひょう、帳簿等により確認したとして、前記の計8契約に係る委託費の支払額を計45,765,897円と確定し、同額を支払っている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、両局及び会社において、合規性等の観点から、委託業務の経理及び委託業務の実施に要したとする経費は適正かなどに着眼して、前記の計8契約を対象として、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、前記の計8契約について、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

ア 会社は受託単価等(3,125円から7,500円)を基に委託業務に従事した者の人件費を算定して実績報告を行い、両局は賃金台帳等により受託単価と実績単価との間に大幅なかい離が見受けられないことなどを確認し、委託費を支払っていた。しかし、会社が両局に提示した賃金台帳等は、委託業務に従事した者の給与等の支払実績を水増しした虚偽の賃金台帳等であった。そこで、実際の給与等の支払実績を基に実績単価を算出すると、848円から4,717円となり、受託単価等を大幅に下回るものとなっていた。

イ 会社は、委託業務に従事した者ごとの従事時間数について、業務日誌に基づき従事時間数を集計して実績報告を行ったとしていた。しかし、会社の会計帳簿等に記載された出張記録等を確認したところ、委託業務に従事していたとされた者が、委託業務に従事していたとされた時間に、委託業務以外の業務で出張していたり、休暇を取得していたりなどしていて、実際には委託業務に従事していないと認められる時間(計1,291.7時間)を従事時間数に含めていた。
 以上のことなどから、前記の計8契約に係る人件費等の額は、委託業務において実際に要した経費に基づいて算定されたものとはなっていなかった。
 したがって、実績単価に基づき人件費を算定するなどして適正な委託費の支払額を算定すると計25,718,292円となり、前記の委託費の支払額との差額計20,047,605円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、会社において、委託業務の適正な実施に対する基本的な認識が欠けていたため事実と相違した内容の実績報告を行っていたこと、両局において、実績報告書の内容の審査及び確認が十分でなかったことによると認められる。