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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 役務

石油精製物質の有害性に関する試験及び報告書の作成業務に関する調査委託契約において、委託業務に従事していない者の人件費等を含めて算定するなどしていたため、委託費の支払額が過大となっていたもの


(342) 石油精製物質の有害性に関する試験及び報告書の作成業務に関する調査委託契約において、委託業務に従事していない者の人件費等を含めて算定するなどしていたため、委託費の支払額が過大となっていたもの

会計名及び科目 エネルギー対策特別会計(エネルギー需給勘定)
    (項)燃料安定供給対策費
  平成18年度以前は、
石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定)
    (項)石油生産流通合理化対策費
部局等 経済産業本省
契約名 石油精製物質適正評価調査(発がん性、変異原性及び生殖発生毒性に関する有害性調査)の委託(平成17年度〜20年度)
契約の概要 経済産業本省が選定した石油精製物質について、毒性等を化学物質ごとに明らかにして報告させるもの
契約の相手方 株式会社三菱化学安全科学研究所(平成21年4月以降は三菱化学メディエンス株式会社)
契約 平成17年9月ほか 契約4件(随意契約)
支払 平成18年4月ほか
支払額
628,650,767円
(平成17年度〜20年度)

過大となっていた支払額
353,203,891円
(平成17年度〜20年度)

1 委託契約の概要

 経済産業本省(以下「本省」という。)は、石油精製物質の有害性情報の収集・整理を行い、石油精製物質の適正管理に資することを目的として、平成17年度から20年度までの各年度に、「石油精製物質適正評価調査(発がん性、変異原性及び生殖発生毒性に関する有害性調査)」に係る4件の委託契約を株式会社三菱化学安全科学研究所(21年4月以降は三菱化学メディエンス株式会社。以下「会社」という。)と締結しており、委託費として計628,650,767円を支払っている。
 本省は、本件委託契約について、会計法(昭和22年法律第35号)等の規定に基づき、会社から提出された調査報告書等について、その内容が、委託契約の内容に適合するものであるかどうかを検査して、委託業務の完了を確認するとともに、会社から提出された委託業務に要した経費をまとめた実績報告書の内容の審査等を行い、支払うべき額を確定することとしている。
 そして、本省は、実績報告書の人件費の審査等については、委託業務に従事した時間等を記録した所定の様式の従事日誌と会社の出勤簿、タイムカード等を突合するなどして、実績報告書の内容が適正か確認することとしている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、委託業務は委託契約書に基づき適切に実施されているか、委託業務に要したとする経費は適正かなどに着眼して、本省及び会社において、前記4件の委託契約を対象として、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2)検査の結果

 検査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
 本省は、各年度の委託契約の完了日に会社から提出された調査報告書等の検査を行い、その内容は適正であるとして委託業務の完了を確認するとともに、実績報告書と従事日誌を突合することにより実績報告書に記載された会社が要したとする経費は適正であるとして、委託費の額を確定していた。
 しかし、本院が従事日誌の内容について、試験に従事した時間や内容が詳細に記録された会社のタイムカードと突合するなどして検査したところ、従事日誌では委託業務に従事したとしている社員が実際には全く委託業務に従事していなかったり、従事していても従事日誌に計上された時間よりも少ない時間しか従事していなかったりしていた。また、このほか、実績報告書には、委託業務に使用していない消耗品費も計上されていた。
 したがって、委託業務に従事していなかった社員に係る人件費、委託業務に使用していない消耗品費等を除くなどして適正な委託費の支払額を算定すると計275,446,876円となり、前記委託費の支払額との差額計353,203,891円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、会社において委託業務の適切な実施についての認識が欠けていたことにもよるが、本省において実績報告書の内容の審査及び確認並びに会社に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。