部局等 |
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補助事業等 | 年度 |
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左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める補助対象事業費等 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |||||
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||||||
(350) | 九州経済産業局 | 佐賀県東松浦郡玄海町 〈事業主体〉 |
電源立地地域対策交付金 | 21 | 29,913 (29,913) |
25,500 | 1,597 | 1,361 |
この交付金事業は、玄海町が、有浦上(ありうらかみ)地内において、農道を拡幅するなどして改良するために、擁壁工、防護柵工、盛土工等を実施したものである。
このうち擁壁工は、農道の路体等の安定を図るために、ブロック積擁壁(高さ0.6m〜5.4m、延長計102.0m)を築造するなどのものであり、防護柵工は、車両が路外に逸脱するのを防止するために、ガードレールを設置するものである。
同町は、本件工事の設計を「土地改良事業計画設計基準・設計「農道」」(農林水産省農村振興局制定。以下「設計基準」という。)等に基づき行っており、擁壁については、転倒等に対する安定計算を行い、安全であるとして、これにより施工していた。また、ガードレールについては、路側が盛土となっている区間については盛土の上に、車道が擁壁天端に近接していて盛土がない10.8m区間については擁壁の頂部に直接設置することとして、これにより施工していた。
しかし、設計基準等によると、ガードレールを擁壁の頂部に直接設置する場合には、車両がガードレールに衝突する際の荷重(以下「衝突荷重」という。)を考慮して擁壁の安定計算を行うこととされているのに、同町は、衝突荷重を考慮していなかった。
そこで、ガードレールを頂部に直接設置した前記区間の擁壁(高さ3.9m〜5.4m)について、設計基準等に基づき衝突荷重を考慮して改めて安定計算を行ったところ、擁壁の重量と土圧に衝突荷重を加えた合力の示す線が、転倒に対して安定計算上安全とされる範囲(擁壁断面の中央3分の1の前端より後方)に収まっていなかった(参考図参照
)。
したがって、本件10.8m区間の擁壁等(工事費相当額1,597,002円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額1,361,379円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において、ガードレールを頂部に直接設置した場合の擁壁の安定計算について理解が十分でなかったことなどによると認められる。
本件10.8m区間の擁壁概念図