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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

中小企業再生支援協議会事業において、謝金支払額に係る消費税額が重複して計上されていたため過大に交付された委託費の返還を求めるなどの措置を速やかに講ずるとともに、謝金支払額が消費税の課税の対象であるかの確認を適切に行うことなどにより委託費の算定を適正なものとするよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたもの


(1) 中小企業再生支援協議会事業において、謝金支払額に係る消費税額が重複して計上されていたため過大に交付された委託費の返還を求めるなどの措置を速やかに講ずるとともに、謝金支払額が消費税の課税の対象であるかの確認を適切に行うことなどにより委託費の算定を適正なものとするよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)経営革新・創業促進費
    (平成19年度以前は、 (項)中小企業対策費)
部局等 中小企業庁、3経済産業局、内閣府沖縄総合事務局
委託事業 中小企業再生支援協議会事業
委託事業の概要 事業の収益性はあるが財務上の問題を抱える中小企業の事業再生への取組を支援するために行う企業再生に係る知見を有する専門家による助言や再生計画の策定支援等
契約の相手方 7団体
契約 平成18年4月〜22年4月随意契約
支払額
19億1507万余円
(平成18年度〜22年度)

過大となっていた支払額
4668万円
(平成18年度〜22年度)

【適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたものの全文】

  中小企業再生支援協議会事業の謝金に係る消費税の取扱いについて

(平成23年10月28日付け 中小企業庁長官宛て)

 標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び 是正改善の処置を求める。

1 事業の概要

(1) 中小企業再生支援協議会事業等の概要

 経済産業大臣は、平成15年から、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(平成11年法律第131号)等に基づき、中小企業の再生支援に係る業務を適正かつ確実に行う者として、商工会議所等の団体の中から都道府県ごとに1団体を認定している。認定を受けた団体は、商工会議所等の代表者により構成される中小企業再生支援協議会を団体内に設置している。そして、同協議会は、団体が行う中小企業の再生支援に係る業務の遂行に関する重要な事項を審議し、決定するほか、団体に対する専門的な助言を行っている。
 貴庁は、15年から、事業の収益性はあるが財務上の問題を抱える中小企業に対し、事業再生への取組を支援するため、弁護士、公認会計士、税理士等の企業再生に知見を有する専門家が、中小企業からの相談に対して適切な助言や再生計画の策定支援等を行う中小企業再生支援協議会事業(以下「協議会事業」という。)を実施している。そして、貴庁は、協議会事業に係る委託契約の締結、委託費の額の確定等の委託に関する事務を、経済産業省の地方支分部局である経済産業局及び内閣府沖縄総合事務局(以下「経済産業局等」という。)に委任しており、経済産業局等は、上記の団体と協議会事業に係る委託契約を締結し、団体は、協議会事業を実施するため、専門家や事業の運営を行うために配置された事務局員等に対して謝金を支払うなどしている。
 協議会事業の委託費については、団体から実績報告書の提出を受けて、委託費の総額を決定する確定検査を行った上で、事務局員に係る謝金等の「協議会費」、専門家に係る謝金等の「事業費」並びに一般管理費及び消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)の経費の区分ごとに定めた上限額の範囲内で委託業務の実施に要した経費の額により確定し、支払うこととしている。

(2) 委託事業に係る消費税の取扱い

 消費税法(昭和63年法律第108号)によれば、消費税の課税対象は、国内において事業者が行った事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供とされており、委託契約は、このうち役務の提供に該当するため、委託先が課税事業者である場合、委託費は委託先の課税売上げとなり、委託費総額が消費税の課税の対象となる。
 そして、協議会事業における委託費は、委託先が消費税の課税事業者である場合、協議会費及び事業費についてそれぞれ消費税額を除いて計上し、その合計額に一般管理費率を乗じて算出した一般管理費を合算して、さらにこれらの合計額に消費税率5%を乗じて得た消費税額を合算して算定されることとなる。

(3) 謝金に係る消費税等の取扱い

 委託事業における謝金には、雇用契約を締結した職員等に対する給与等のほか、弁護士、公認会計士、税理士等の業務に関する報酬、料金等(以下「報酬料金等」という。)などがある。
 一方、消費税法等によれば、課税の対象となる役務の提供とは、土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、便益その他のサービスを提供することをいい、弁護士、公認会計士、税理士等によるその専門的知識、技能等に基づく役務の提供もこれに含まれることとされている。ただし、所得税法(昭和40年法律第33号)に規定する給与等を対価とする役務の提供は、消費税の課税の対象から除くこととされている。
 したがって、委託事業において、委託先が謝金として役務の提供の対価を支払った場合、その対価の支払が給与等に該当する場合を除き、原則として消費税の課税の対象となる。
 また、所得税法は、特定の経費の支払者に支払金額、源泉徴収税額等を内容とした調書の提出を義務付けていて、報酬料金等の支払者は、所得税法に基づき、同一人に対する年間支払金額の合計が5万円を超える場合、支払を受ける者の各人別に「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」(以下「支払調書」という。)を作成し、所轄税務署長に提出することとされている。また、給与等の支払者は、所得税法に基づき、支払を受ける者の各人別に「源泉徴収票」を2通作成し、このうち1通を所轄税務署長に提出し、他の1通を給与等の支払を受ける者に交付することとされている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 貴庁が経済産業局等に委託に関する事務を委任して実施している協議会事業は、その委託費の大部分が委託業務に従事する専門家等に係る謝金となっている。
 そこで、本院は、合規性等の観点から、協議会事業の謝金に係る消費税の取扱いは適切かなどに着眼して、貴庁において、20、21両年度に東北経済産業局を除く8経済産業局等が41団体に委託して実施した協議会事業82件(支払額計67億9084万余円)について、その実績報告書等により会計実地検査を行った。そして、疑義のある事態が見受けられた場合は、当該団体において、18年度から22年度までに実施した協議会事業について、団体の消費税の確定申告書等により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、18年度から22年度までの間に4経済産業局等 (注1) が7団体 (注2) に委託して実施 した協議会事業29件(支払額計19億1507万余円)について、団体が経済産業局等に提出した実績報告書において、謝金支払額計14億7853万余円には消費税は含まれていないものとして、協議会費及び事業費にそのまま計上し、これ以外の謝金支払額を含む他の経費及び一般管理費との合計額にこれらに係る消費税額を合算して委託費が算定されていた。
 しかし、7団体の消費税の確定申告事務を行っている経理担当者に謝金に係る消費税の取扱いを確認するとともに、支払調書の控えや源泉徴収票の控えなどを確認したところ、上記の謝金支払額計14億7853万余円のうち専門家等に対する謝金支払額9億0160万余円については、実際には専門家等が提供する役務に対する報酬料金等として支払われたものであったことから消費税の課税の対象であり、謝金支払額には消費税が含まれていた。そして、上記のとおり、当該謝金支払額とこれ以外の謝金支払額を含む他の経費及び一般管理費との合計額に消費税率5%を乗じていたため、委託費に上記の専門家等に対する謝金支払額に係る消費税額が重複して計上されていた。
 したがって、7団体が実施した協議会事業29件について、実績報告書の協議会費及び事業費に計上されている専門家等に対する謝金支払額計9億0160万余円から消費税額を除いた額とこれ以外の謝金支払額を含む他の経費及び一般管理費との合計額に消費税率5%を乗じるなどして適正な委託費を算定すると、計18億6839万余円となることから、前記の委託費支払額計19億1507万余円は、計4668万余円が過大となっていた。

(是正及び是正改善を必要とする事態)

 上記のように、協議会事業の委託費の算定において、専門家等に対する謝金支払額に係る消費税額が重複して計上されている事態は適切ではなく、是正及び是正改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

 このような事態が生じているのは、7団体において、団体の経理担当者と協議会事業の担当者との間で謝金支払額が消費税の課税の対象であるかについての連絡調整が不足していたことにもよるが、経済産業局等及び貴庁において、次のことなどによると認められる。

ア 経済産業局等において、協議会事業の確定検査に当たり、団体が謝金を支払った場合に、その支払額が消費税の課税の対象であるかについて、支払調書の控えや源泉徴収票の控えなどによる確認が十分でなかったこと

イ 貴庁において、経済産業局等に対して、協議会事業において団体が謝金を支払った場合に、その支払額が消費税の課税の対象であるかについての具体的な確認方法について指導が十分でなかったこと

3 本院が要求する是正の処置及び求める是正改善の処置

 貴庁は、今後とも委託に関する事務を経済産業局等に委任して協議会事業を実施することが見込まれる。
 ついては、貴庁において、前記の4経済産業局等を通じて7団体に過大に交付した委託費の返還を求めるなどの措置を速やかに講ずるよう是正の処置を要求し、及び、確定検査の実施に当たり、謝金支払額が消費税の課税の対象であるかの確認について、支払調書の控えや源泉徴収票の控えなどにより適切に行うこととするとともに、これを経済産業局等に対して周知徹底することにより委託費の算定を適正なものとするよう是正改善の処置を求める。

 4経済産業局等  中部、近畿、九州各経済産業局、内閣府沖縄総合事務局

 7団体  財団法人富山県新世紀産業機構、京都、福岡、佐賀、長崎、宮崎、那覇各商工会議所