平成20年度決算検査報告 参照
平成21年度決算検査報告 参照
独立行政法人日本貿易振興機構(以下「機構」という。)は、資産として保有する保証金204億5580万余円を民間業者に預託して運用させ、その利息収入によりコンテンツ産業国際展開支援等の事業を行っている。しかし、保証金の保有額が当該利息収入により実施している事業の規模に見合っていなかったり、事業の実施方法が一旦契約すると長期間同一業者との契約が継続されることになっていたりなどしていて、資産保有の妥当性や事業の競争性及び透明性確保等の面から適切とは認められない事態が見受けられた。
したがって、経済産業省において、預託した保証金の利息収入により行うという事業の実施方法について見直すとともに保証金を含めた資産の保有規模を適正なものとするよう機構に検討させて、不要となる資産は国庫に返納させることができることとする処置を講ずるよう、経済産業大臣に対して平成21年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、経済産業本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、経済産業省は、本院指摘の趣旨に沿い、機構に対して、保証金を預託先に運用させ、その利息収入を事業費に充てるという事業の実施方法について見直すとともに、機構が保有する資産の適正な規模について検討するよう指導・助言する処置を講じていた。
その結果、機構は、当該実施方法を見直した上で預託先と協議するなどして保証金を順次回収するとともに、資産の保有規模を適正なものとするため、204億5580万余円を国庫に返納することとしていた。
そして、機構は、不要財産を国庫納付するための処理方法等を規定した「独立行政法人通則法の一部を改正する法律」(平成22年法律第37号)が22年11月27日に施行されたことを受けて、同法等に基づき、23年9月末までに、204億5580万余円のうち137億3573万余円を国庫に返納し、残余の67億2006万余円について、国庫返納するために必要な処理を行っていた。