経済産業省は、地域経済の活性化等を図るため、大学や公設試験研究機関等が参加する広域的連携組織の形成を通じ、各研究機関等が保有する人材、試験研究機器、研究成果等の研究開発資源の相互活用に取り組むことを目的として、各地域における産業支援機関等の事業主体に対して地域イノベーション創出共同体形成事業費補助金を交付している。しかし、研究開発環境支援事業で作成したマニュアル及び購入した試験研究機器等の活用状況をみると、広域的な相互活用やこれらを用いた技術支援が行われずに、補助事業の目的が十分に達成されていない事態が見受けられた。
したがって、経済産業省において、補助事業の目的について各経済産業局を通じて事業主体等への周知徹底を図るとともに、マニュアル及び試験研究機器等が広く利用開放されるなど広域的な相互活用を図るため、統一的な活用方針、手続等を明確に示す処置を講ずるよう、経済産業大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、経済産業本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、経済産業省は、本院指摘の趣旨に沿い、22年9月に通知を発するなどして、各経済産業局を通じて事業主体等に対して補助事業の目的について周知徹底を図るとともに、作成したマニュアル及び購入した試験研究機器等について、公設試験研究機関に無償譲渡するなどの適切な手続を経た上で、広く利用開放がされるよう統一的な活用方針、手続等を明確に示す処置を講じていた。
なお、事業主体は、作成したマニュアル及び購入した試験研究機器等について、23年1月末までに公設試験研究機関に無償譲渡するなどしていて、いずれも広域的な相互活用が図られていた。