金融秩序の混乱等に対応する危機対応業務の一環として実施している損害担保付貸付けの補償料率及び補填割合は、主務大臣告示(以下「告示」という。)において、中小企業等協同組合等の構成員に対しては、大企業等であっても、企業規模にかかわらず、中小企業と同じ補償料率及び補填割合を適用することが可能となっていることなどから、指定金融機関である株式会社商工組合中央金庫は、構成員に対する損害担保付貸付けを実施するに当たり、これに基づいた損害担保契約を株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)と締結していた。しかし、一般的に中小企業と大企業等とでは信用補完等による支援の必要性の程度が異なるものと思料される。
したがって、経済産業省において、構成員に対する損害担保付貸付けの実施に当たり、公庫と指定金融機関との損害担保契約の補償料率や補填割合が当該構成員の企業規模に見合ったものとなるよう告示の改正を行うなどして、公庫の補償金支払財源の一部である国庫負担分が信用補完等支援の必要性の程度に応じた適切なものとなるよう、経済産業大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、中小企業庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、経済産業省は、本院指摘の趣旨に沿い、指定金融機関が構成員に対して損害担保付貸付けを実施する場合において、公庫と指定金融機関との損害担保契約の補償料率及び補填割合が当該構成員の企業規模に見合ったものとなるよう、23年5月に告示を改正し、補償金支払財源の一部である国庫負担分を信用補完等支援の必要性の程度に応じたものとする処置を講じていた。