経済産業省は、都道府県等が、高度技術の開発・利用に関する研修又は指導事業等を、都道府県所管の公益法人に技術振興基金等を造成させて継続的に実施させる場合に、その基金への出えんなどに必要な経費の全部又は一部について、産業再配置促進費補助金、地域産業活性化推進対策費補助金及び指導事業費補助金を交付している。しかし、25道府県所管の33法人が保有する73基金において、基金による事業が実施されていなかったり、基金による事業を継続しているものの、近年、事業実績が全くなかったり、基金の運用益が他の会計に繰り入れられたりなどしていて、基金が有効活用されていないなどしている事態が見受けられた。
したがって、経済産業省において、基金事業として継続する必要性を十分検討した上で、基金の存続の必要性を検討するための基準等を都道府県等及び基金を保有する法人に示し、これにより不要となる基金のうち国庫補助金相当額を国庫に返納させるなどして、基金の適切かつ有効な活用を図る処置を講ずるよう、経済産業大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、経済産業本省及び中小企業庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、経済産業省は、本院指摘の趣旨に沿い、前記の補助金の交付により造成された基金について、基金事業として継続する必要性を検討し、補助金の交付目的の根拠となっていた法律が既に廃止されているなど事業環境が変化していることに鑑み、23年5月及び7月に、各基金事業に関する基準等を定めて、都道府県等及び基金を保有する法人に対し、基金事業の終了時期を原則として27年度末を超えない範囲で設定させ、事業終了に当たっては終了する年度の次年度までに基金のうち国庫補助金相当額を返還しなければならないことなどを規定するとともに、都道府県等に対して通知を発して、その内容を周知し、これに基づいて、都道府県等から基金事業の終了時期等を定めた報告書等を所轄の経済産業局長に提出させるなどの処置を講じていた。