部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(360) | 石川県 | 石川県 | 道路交通円滑化 | 21 | 640,000 (640,000) |
352,000 | 18,323 (18,323) |
10,077 |
この補助事業は、石川県が、一般国道305号の道路整備に要する用地取得等を事業費640,000,000円(国庫補助金352,000,000円)で実施したものである。
本件補助事業の事業費の算定方法等については、「道路局所管補助金等交付申請について」(平成13年国道総第589号)によることとされており、これによると、補助事業の事業費は、本工事費(委託費を含む。)、用地費等から成る工事費と、補助事業に従事する職員の人件費等から成る事務費に区分されている。このうち事務費については、事業費を所定の金額の段階に区分して、区分ごとに定められた率を乗じて得た額を合計した額(以下「定率事務費」という。)を事務費の補助限度額とし、その範囲内で必要な額を補助の対象となる事務費(以下「補助対象事務費」という。)とすることとなっている。
そして、補助事業で行う工事等の全部又は一部を国、他の地方公共団体等に委託して施行する場合は、事業主体が自ら行う業務が軽減され、その分の事務費を要しないこと及び委託先に支払う委託費の中には、委託先が当該委託業務を実施するために必要な事務費(以下「委託事務費」という。)が含まれていることから、定率事務費から委託事務費を控除した額を事務費の補助限度額とすることとなっている。ただし、定率事務費から委託事務費を控除すると、事業主体の事務費が定率事務費の3割に満たないこととなる場合等は、定率事務費の3割を事務費の補助限度額とすることとなっている(以下、このような算定方法を「特例措置」という。)。
また、土地区画整理事業の施行者は、土地区画整理法(昭和29年法律第119号)に基づき、道路事業の事業主体に対して、道路用地の取得に要する費用の全部又は一部について、公共施設管理者負担金(注1)
(以下「負担金」という。)として負担を求めることができることとなっている。そして、事業主体が負担金を支払う場合、負担金には委託事務費が含まれていることから、委託事務費を定率事務費から控除することとなっている。
同県は、本件補助事業のうち、用地取得については、必要な道路用地が土地区画整理事業の施行地内にあることから、土地区画整理事業の施行者である金沢市副都心北部直江土地区画整理組合等3組合(注2)
と用地取得に係る協定を締結し、これに基づき3組合に対し、負担金として468,300,000円(うち委託事務費23,566,948円)を支払っている。そして、本件補助事業の定率事務費を26,250,000円と算定し、この範囲内で26,198,607円を補助対象事務費としていた。
しかし、同県は、補助対象事務費の算定に当たり、前記のとおり、定率事務費から上記の3組合へ支払った負担金に含まれる委託事務費を控除すべきであったのに、誤ってこれを控除していなかった。
したがって、本件補助事業については、委託事務費を控除した上で特例措置を適用して適正な事務費の補助限度額を算定すると7,875,000円となり、前記の補助対象事務費26,198,607円は18,323,607円が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額10,077,983円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、補助対象事務費の算定に当たり、委託事務費の控除についての認識が十分でなかったことなどによると認められる。