部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(366) | 福岡県 | 福岡市 | 交通連携推進 | 20、21 | 97,849 (82,773) |
41,386 | 20,486 (17,330) |
8,665 |
この補助事業は、福岡市が、東区馬出地内において、平成20、21両年度に、市道馬出東浜線の車道舗装工、歩道舗装工、視覚障害者誘導用ブロック(以下「誘導ブロック」という。)設置工等を実施したものである。
このうち、歩道舗装工は、車道の両側に設けた延長計510.4mの歩道においてアスファルトにより面積計2,210m2
の舗装を行うものであり、また、誘導ブロック設置工は、この歩道に面積計224m2
の誘導ブロックを設置するものである。
歩道については、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号)により、高齢者、障害者等の移動の利便性及び安全性を確保することとされている。そして、本件歩道舗装工及び誘導ブロック設置工の設計は、「道路の移動等円滑化整備ガイドライン」(財団法人国土技術研究センター編。以下「ガイドライン」という。)等に基づき行われている。ガイドラインによると、誘導ブロックの色は、周囲の路面の色と容易に識別できるものとし、類似した色の場合は、輝度比(注)
を2.0程度確保することとされている。
同市は、本件歩道に連続する過年度に施工した歩道において、誘導ブロックの色をガイドラインにおいて標準とされている黄色、舗装色をベージュとして設計しており、これにより誘導ブロックの色が周囲の路面の色と容易に識別できるものとなっていたことから、本件工事においても、誘導ブロックの色を黄色、舗装色をベージュとして設計していた。そして、それぞれの色の詳細については、請負人から施工に先立って提出された使用材料承諾願により、誘導ブロックの見本と舗装色の見本を確認するなどして決定していた。
しかし、請負人から提出された使用材料承諾願によると、舗装色の見本は、過年度に施工した歩道の舗装色と著しく相違していて、誘導ブロックの黄色と類似した色となっているのに、同市は、当該舗装色により施工することを承諾していた。
このため、実際に施工した路面の色が誘導ブロックの色と類似した色となっていた。そこで、誘導ブロックの色と周囲の路面の色との輝度比を車道両側の歩道で測定したところ、それぞれ1.26、1.49となっていて、いずれもガイドラインにおいて類似した色の場合に確保することとされている輝度比2.0程度を大幅に下回っており、誘導ブロックの色が周囲の路面の色と容易に識別できず、視覚障害者を安全かつ円滑に誘導できないものとなっていた。
したがって、本件歩道舗装工及び誘導ブロック設置工(これらの工事費相当額20,486,627円、うち国庫補助対象額17,330,000円)は、設計が適切でなかったため、障害者の安全かつ円滑な移動が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額8,665,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、請負人から見本として提出された舗装色により施工することの適否に対する検討が十分でなかったことなどによると認められる。