部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(368) | 北海道 | 札幌市 | 河川改修 | 21 | 151,919 (150,963) |
50,321 | 7,909 (7,859) |
2,619 |
この補助事業は、札幌市が、手稲区稲穂地区において、二級河川手稲土功川を流れる土砂等を堆積させるため、沈砂池設置工を実施したものである。
この沈砂池設置工は、鉄筋コンクリート構造の沈砂池(設計堆積土砂量800m3
)、沈砂池に堆積した土砂等の搬出等に利用する鉄筋コンクリート構造の斜路(延長40.1m、幅3.2m、スラブ厚50cm)等を築造するものである(参考図参照)
。
このうち沈砂池の設計については、沈砂池の側壁(高さ4.0m〜6.1m、壁厚80cm)が底版に固定された一体の構造となることから、コンクリートの収縮等によるひび割れを考慮する必要があるとして、コンクリート標準示方書(社団法人土木学会編)等に基づき、あらかじめ定めた場所にひび割れを集中させて他の場所におけるひび割れを防ぐため、コンクリートに溝状の切込みを入れるなどしてひび割れ誘発目地(以下「目地」という。)を所定の間隔で設けることとしていた。
しかし、斜路の設計については、斜路のスラブが、鉄筋コンクリート構造で沈砂池の側壁と一体のものとして築造されているため、側壁の目地に集中するひび割れの影響を受けるものとなっているのに、側壁と同様の目地を設けるなどのひび割れの対策を行うこととしていなかった。
そこで、現地の状況を確認したところ、斜路において、沈砂池の側壁の目地と接している箇所を中心に、スラブ上面で13本のひび割れが生じており、斜路の鉄筋コンクリート内部に雨水等が浸透する状況となっていて、このうちの7本はスラブを貫通していた。
したがって、本件沈砂池の斜路(工事費相当額7,909,596円、うち国庫補助対象額7,859,000円)は、設計が適切でなかったため、鉄筋コンクリート構造物としての耐久性等が著しく低くなっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額2,619,666円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品の内容が適切でなかったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
沈砂池の概念図
斜路の断面図