部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(369) | 中国地方整備局 | 島根県 | 浜田港改修(統合補助) | 21、22 | 115,398 (115,398) |
38,466 | 5,280 (5,280) |
1,760 |
この補助事業は、島根県が、浜田港長浜地区において、最大で総トン数1,000トン級の船舶を接岸させる目的で長浜1号桟橋(以下「桟橋」という。)を拡幅等して整備するため、鋼杭工、上部工、防舷材工等を実施したものである。
このうち防舷材工は、上記の船舶が桟橋に接岸する際に生ずる衝撃力を減少させ、船体及び桟橋の損傷を防止するため、桟橋に高さ0.4m、長さ1.0mの防舷材8基を11.2m間隔で設置したものである(参考図参照)
。
本件防舷材工の設計は、「港湾の施設の技術上の基準・同解説」(国土交通省港湾局監修)等に基づいて行われており、これらによると、船舶の接岸時に、船舶の接岸エネルギーが防舷材の吸収エネルギーを超えることがないようにするなどして設計することとされている。
このため、防舷材の設計計算書では、船舶の総トン数等から防舷材1基当たりに作用する接岸エネルギーを計算するなどして、防舷材1基当たりに必要とされる吸収エネルギーを51.19kN・m以上としていた。そして、各種防舷材のうち、吸収エネルギー54.7kN・mを有する高性能の防舷材を設置することとしていた。
しかし、同県は、防舷材の発注図面等において、寸法等を記載しただけで、防舷材1基当たりに必要とされる吸収エネルギー等の性能を記載していなかった。このため、請負人は、上記のような高い性能は有しない防舷材を使用する旨の事前承認資料を同県に提出して、同県がこれを承諾したことなどから、8基とも事前承認資料に記載した防舷材を設置していた。
そこで、実際に設置された防舷材の性能を確認したところ、防舷材1基当たりの吸収エネルギーは39.2kN・mとなっており、必要とされる吸収エネルギー51.19kN・mを大幅に下回っていて、設計計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件防舷材工(工事費相当額5,280,000円)は設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額1,760,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、防舷材の性能等に対する認識が十分でなかったことなどによると認められる。
防舷材の設置概念図