部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(370) | 栃木県 | 栃木県 | 交通円滑化 | 19〜22 | 779,793 (779,793) |
428,886 | 132,093 (132,093) |
72,651 |
この補助事業は、栃木県が、宇都宮市上籠谷(かみこもりや)町地内において、一般国道408号真岡宇都宮バイパス(起点真岡市下籠谷(しもこもりや)、終点宇都宮市氷室町)の連続立体橋りょう(橋長390.0m、幅員17m)を新設するため、下部工として逆T式橋台1基及び橋脚10基の築造、基礎杭の打設等を、上部工として10径間連続鋼鈑桁(ばんげた)の製作、架設等をそれぞれ実施したものである。
このうち、橋りょう起点側の橋台(以下「A1橋台」という。)の基礎杭は、外径600mm、杭長15.0mの鋼管杭を橋軸方向に4列、橋軸直角方向に12列、計48本打設するものである。
本件橋りょうの設計は、「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編)、「杭基礎設計便覧」(社団法人日本道路協会編)等に基づいて行われている。これらによると、杭と橋台のフーチングとの結合部(以下「結合部」という。)は、杭頭部に作用する引抜き力等に対して抵抗できるように設計することとされている。そして、鋼管杭等の結合部においては、杭頭部に作用する引抜き力等の杭軸方向力を中詰めコンクリート及びフーチングコンクリートを介して杭に確実に伝達させるために、杭の内面等にずれ止めを設けることとされている。
設計図書等によると、同県は、A1橋台の結合部について、次のように施工することとしていた(参考図参照)
。
〔1〕 鋼管杭の内面において、杭頂部から150mm及び300mmの位置に曲げ加工した平鋼(厚さ9mm、幅25mm。以下「ずれ止め材」という。)を配置して、その上面の全周にずれ止め材の厚さに等しい脚長9mmのすみ肉溶接(注1)
をすることにより、鋼管杭に接合する。
〔2〕 鋼管杭の杭頭部に中詰め補強鉄筋を配置して中詰めコンクリートを打設するなどする。
しかし、請負人は、A1橋台の全ての鋼管杭のずれ止め材について、仮止め程度の溶接による施工を行っていて、ずれ止め材が鋼管杭に確実に接合されていなかった(参考図参照)
。このため、A1橋台の結合部は、杭頭部に作用する引抜き力を中詰めコンクリート及びフーチングコンクリートを介して鋼管杭に確実に伝達できない状況となっていた。
そこで、改めて、設計計算を行ったところ、A1橋台の結合部は、レベル1地震動(注2)
時において杭頭部に作用する引抜き力に抵抗できないものと認められた。
したがって、本件橋りょうは、A1橋台の結合部の施工が設計と相違していたため、A1橋台及びこれに架設された上部工等(これらの工事費相当額132,093,000円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額72,651,150円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、請負人が粗雑な施工を行っていたのに、これに対する同県の監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
(注1) | すみ肉溶接 ほぼ直交する二つの面を三角形状の断面を持つ溶接継手で接合する溶接をいう。
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(注2) | レベル1地震動 橋りょうの供用期間中に発生する確率が高い地震動をいう。
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結合部断面図
ずれ止め材の溶接概念図
断面図