部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(373) | 近畿地方整備局 | 神戸市 | 港湾改修 | 20、21 | 87,270 (87,270) |
43,635 | 3,943 (3,943) |
1,971 |
この補助事業は、神戸市が、中央区港島中町、港島両地区において、港島トンネルの改良に伴い、神戸市水道事業管理者(以下「水道事業者」という。)所有の配水設備(管径700mm、延長266.4m及び管径200mm、延長110.3m)の移設に要する費用として、87,270,300円(国庫補助金43,635,150円)を水道事業者(神戸市水道事業会計(特別会計))に補償したものである。
同市は、補償金の算定に当たり、配水設備の移設に要する費用として移設工事費を78,879,418円とし、これに係る消費税及び地方消費税(以下、これらを合わせて単に「消費税」という。)相当額3,943,970円と事務費等の諸経費4,446,912円を加算していた。
国土交通省港湾局所管の国庫補助事業の施行に伴う損失補償においては、「損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取り扱いについて」(平成9年港管第2348号)により、消費税については、次のように取り扱うこととされている。
すなわち、補償を受けた土地等の権利者等が補償金により代替施設を建設することなどを前提に算定している補償金については、建設業者等に支払うこととなる消費税相当額を考慮して補償金を適正に算定することとされている。そして、土地等の権利者等が消費税法(昭和63年法律第108号)で定める事業者である場合において、代替施設の建設に際し、消費税を負担しても、当該事業者の消費税納付税額の計算上、負担した消費税の全額が課税仕入れに係る消費税額として、当該事業者の課税売上高に係る消費税額から控除の対象となるときは、当該事業者は消費税を実質的に負担しないこととなるため、補償金の算定に当たり、消費税相当額を積算上考慮しないこととされている。
そして、消費税法によれば、事業者の課税売上割合(注)
が100分の95以上となっている場合、事業者は、課税仕入れに係る消費税の全額を控除することとなっている。また、地方公共団体の特別会計に係る消費税納付税額の計算に当たり、補助金収入等の売上げ以外の収入(以下「特定収入」という。)の額を売上高と特定収入の合計額で除した割合(以下「特定収入割合」という。)が100分の5以下の場合には、特定収入により賄われる消費税額は、上記の課税仕入れに係る消費税額として課税売上高に対する消費税額から控除することとなっている。
しかし、水道事業者は消費税法で定める事業者に該当し、消費税の確定申告書等によれば、課税売上割合が100分の95以上であり、また、特定収入割合は100分の5以下であることから、課税仕入れに係る消費税の全額を控除することとなり、配水設備の移設に係る消費税額を実質的に負担しないこととなるのに、同市は補償金の算定に当たり消費税相当額を加算していた。
したがって、適正な補償金を算定すると83,326,330円となることから、前記の補償金87,270,300円との差額3,943,970円が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額1,971,985円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、補償金の算定における消費税の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。