部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(374) | 福岡県 | 福岡県 | 地域活力基盤創造交付金、交通安全施設等整備 | 21 | 220,166 (220,166) |
114,889 | 3,654 (3,654) |
1,906 |
この補助事業等は、福岡県が、道路の整備に必要な用地の取得に当たり、支障となる鉄筋コンクリート造り4階建て共同住宅等の移転に要する費用として、220,166,500円(国庫補助金等114,889,056円)を所有者に対して補償したものである。
同県は、公共事業の施行に伴う損失補償を、「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(昭和37年閣議決定)等に準じて同県が制定した損失補償基準等に基づいて行うこととしている。
上記の損失補償基準等によれば、補償費のうち建物移転料は、残地以外の土地に従前の建物と同種同等の建物を建築することが合理的と認められる場合には、従前の建物の推定再建築費に、建物の耐用年数、経過年数等から定まる再築補償率を乗ずるなどして算出することとされている。
そして、鉄筋コンクリート造り建物の推定再建築費は、同県が定めた「非木造建物〔I〕調査積算要領」、中央用地対策連絡協議会監修の「非木造建物調査積算要領の解説」等により、く体コンクリート量に材料費、労務費等を組み合わせた単価を乗ずるなどしてく体の工事費を算出するなどして算出することとされている。このうち、く体コンクリート量については、建物の延床面積に、共同住宅等のベランダ、開放型片廊下等で延床面積に加えていない部分(以下、これらを「ベランダ等」という。)の実面積の2分の1を加算した数量算出基本面積に統計数量値(注)
を乗ずるなどして算出することとされている。
同県は、補償費のうち建物移転料の算出に当たり、本件共同住宅の延床面積642.08m2
にベランダ等の実面積135.96m2
をそのまま加えた778.04m2
を数量算出基本面積とするなどして、建物移転料を191,795,000円と算出していた。
しかし、前記のとおり、ベランダ等の実面積135.96m2
の2分の1である67.98m2
を延床面積に加算して、数量算出基本面積を710.06m2
とすべきであった。
したがって、本件共同住宅について、適正な数量算出基本面積により建物移転料を算出すると188,258,600円となり、他の算定誤りの修正も含めて本件共同住宅等の移転に係る適正な補償費を算定すると216,512,200円となることから、前記の補償費220,166,500円との差額3,654,300円が過大となっており、これに係る国庫補助金等相当額1,906,915円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した補償費算定業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。