国土交通省及び地方公共団体は、トンネル工事における粉じん対策等のため、換気ファンを2段組み合わせた反転軸流式ファン(以下「2段式送風機」という。)により換気を行っている。2段式送風機の運転方法には、2段の換気ファンの両方を同時に運転する方法(以下「2段運転」という。)と、2段の換気ファンのうちいずれか一方を運転する方法(以下「1段運転」という。)とがあり、1段運転の場合、2段運転と比べて送風可能となる区間が短くなるが、電力消費量が半減し、電力料の低減が図られる。しかし、工事費の積算に当たり、1段運転の可能性の検討を行わず、トンネル工事の全区間について2段運転のみを選定していて経済的な積算となっていない事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、2段式送風機の運転経費の積算に当たり、トンネルの規模、送風距離等に応じて、1段運転により換気が可能である場合には、1段運転を選定することにより経済的な積算を行うこととする処置を講ずるよう、国土交通大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、22年10月に地方整備局等に対して事務連絡を発して、同年11月以降に設計業務に着手するトンネル工事における2段式送風機の運転経費の積算に当たり、1段運転の可能性を検討の上、現場状況に応じた運転方法により適切な工事費の積算を行うよう周知徹底するとともに、都道府県等に対しても同様の助言を行うなどの処置を講じていた。