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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 国土交通省|
  • 平成21年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

ダム建設事業における費用対効果分析について


(11) ダム建設事業における費用対効果分析について

平成21年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

 ダム建設事業の再評価等における費用対効果分析の算定方法等について、評価時点より前に計上されたダム建設費等については社会的割引率を用いて現在価値化していなかったり、ダム下流域の河川の流水の正常な機能を維持するために必要なダムの不特定容量の便益の算定及び計上方法が区々となっていたり、維持管理費の算定に当たりダムに堆積する土砂の除去費を計上しているかどうか明確でなかったり、年平均被害軽減期待額の便益算定の基礎となる生起確率が高い降雨に伴う想定被害額が過去における実際の水害の被害額を上回っているものが多かったりしている事態が見受けられた。
 したがって、国土交通省において、同事業の費用対効果分析がより適切な算定方法に基づき行われるようにするため、評価時点より前に計上されるダム建設費等について社会的割引率を用いて現在価値化することを明確にしたり、不特定容量の便益について算定及び計上方法を確立すること、費用対効果分析における堆砂除去費の取扱いを示すこと及び年平均被害軽減期待額の便益の算定方法をより合理的なものとすることを検討したり、費用対効果分析における費用及び便益の各項目の具体的な算定方法等について、事業評価の実施主体に対して周知徹底するとともに、費用対効果分析の算定が適切に行われていることを検証する仕組みを整備したりするよう、国土交通大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

 本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、22年11月及び12月に各地方整備局等、独立行政法人水資源機構及び都道府県等に対して事務連絡を発して、評価時点より前に計上されるダム建設費等について社会的割引率を用いて現在価値化することを明確にしたり、費用及び便益の各項目の具体的な算定方法等を確認できるチェックシートを用いて検証する仕組みを整備し、その周知徹底を図ったりする処置を講じていた。
 また、同省は、新たな技術の向上や最新のデータ及び知見の集積に努めることなどにより、不特定容量の便益について算定及び計上方法を確立すること、費用対効果分析における堆砂除去費の取扱いを示すこと及び年平均被害軽減期待額の便益の算定方法をより合理的なものとすることについて検討を行う処置を講じていた。