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私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの


(388)—(393) 私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの

科目 (助成勘定)補助金経理 (項)交付補助金
部局等 日本私立学校振興・共済事業団
補助の根拠 私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)
事業主体 6学校法人
補助の対象 私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費
上記に対する事業団の補助金交付額の合計 20,744,034,000円 (平成20、21両年度)
不当と認める事業団の補助金交付額 130,601,000円 (平成20、21両年度)

1 補助金の概要

(1) 補助金交付の目的

 日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、国の補助金を財源として、私立大学等(注1) を設置する学校法人に私立大学等経常費補助金(以下「補助金」という。)を交付している。この補助金は、私立大学等の教育条件の維持及び向上並びに学生の修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立大学等の経営の健全性を高めることを目的として、私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費に充てるために交付されるものである。

 私立大学等  私立の大学、短期大学及び高等専門学校

(2) 補助金の額の算定資料

 事業団は、私立大学等経常費補助金交付要綱(昭和52年文部大臣裁定)等に基づき、補助金の額を算定する資料(以下「算定資料」という。)として、各学校法人に補助金交付申請書とともに次の資料を提出させている。
ア 申請年度の5月1日現在の専任教員等(注2) の数、専任職員数及び学生数に関する資料
イ 学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)に基づき作成した前年度決算の学生納付金収入、教育研究経費支出、設備関係支出等に関する資料

 専任教員等  専任の学長、校長、副学長、学部長、教授、准教授、講師、助教及び助手

(3) 補助金の額の算定方法

 事業団は、算定資料に基づき、補助金の額を次のとおり算定することとなっている。
〔1〕  経常的経費を専任教員等給与費、専任職員給与費、教育研究経常費等の経費に区分して、それぞれの経費区分ごとに専任教員等の数、専任職員数、学生数等に所定の補助単価を乗ずるなどして補助金の基準額を算定する。
 そして、上記の専任教員等については、1週間の割当授業時間数が所定の時間数以上であることが、補助の対象となる要件の一つとなっている。
〔2〕  各私立大学等の教育研究条件の整備状況等によって補助金の額に差異を設けるため、次の割合等に基づいて個々の増減率を算定する。
a 収容定員に対する在籍学生数の割合
b 専任教員等の数に対する在籍学生数の割合
c 学生納付金収入に対する教育研究経費支出と設備関係支出との合計額の割合
 そして、上記cの割合に基づいて算定された増減率については、当該私立大学等を設置する学校法人の「当該年度の全ての学部(短期大学・高等専門学校にあっては学科)毎の在籍学生数」又は「前年度の財産目録・貸借対照表・収支計算書・事業報告書・監事の監査報告書全て」について、インターネット又は誰でも入手可能な印刷物による公開(以下「情報の積極的な提供」という。)を行っている場合、所定の率をそれぞれ加算する。
〔3〕  〔1〕 で算定した経費区分ごとの基準額に〔2〕 で算定した全体の増減率を乗ずるなどの方法により得られた金額を合計して補助金の額とする。
 ただし、私立大学等の学部又は学科で、学生募集が停止されているものについては、原則として当該学部又は学科に係る補助金を交付しないこととなっている。

(4) 特別補助

 上記のほか、教育研究経常費については、私立大学における学術の振興及び私立大学等における特定の分野、課程等に係る教育の振興のため、補助金を増額して交付することができることとなっている。
 この補助金の増額(以下「特別補助」という。)の対象となる項目には以下の項目等があり、これらについては、算定資料を各学校法人から提出させて次のように特別補助の額を算定している。
ア 「インターンシップの推進」については、正規の課程の授業科目の一環として学生を企業等へ派遣し現場実習等を行わせている私立大学等に対して、実際に企業等に派遣した学生の実人員数に応じて段階的に所定の額を増額する。
イ 「短大・高専の教育組織の高度化(専攻科)支援」については、専攻科を設置している短期大学等に対して、当該専攻科の在籍学生数に応じて段階的に所定の額を増額する。
ウ 「看護師養成」については、看護師養成学部等を設置している私立大学等に対して、当該学部等ごとの収容定員に所定の単価を乗じて得られた額に、前年度卒業者数に対する看護師従事者数の割合による調整率を乗じた額を増額する。
エ 「教育研究拠点大学院重点経費」のうち大学院基盤分については、大学院を設置している私立大学に対して、研究科ごとの専任教員数に所定の単価を乗ずるなどして得られた研究科算定補助基準額に、当該研究科における過去3年間の修了者数(学位授与者及び単位取得満期退学者の数。以下同じ。)に占める学位授与数の割合等の教育研究活動状況による調整率を乗じた額を増額する。なお、過去3年間の修了者数及び学位授与数については、当該研究科の博士課程・博士後期課程に係るものに限り、専任教員数のうち助教及び助手の数については、当該研究科の基礎となる学部等において専任教員等としての認定基準を満たす者の数を申請する。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、専任教員等の数の算定や情報の積極的な提供が適切に行われているか、特別補助の額の算定が適切に行われているかなどに着眼して、事業団が平成20、21両年度に補助金を交付している628学校法人のうち52学校法人において、補助金の申請の算定資料等の書類により会計実地検査を行った。そして、適切でないと思われる事態があった場合には、事業団に事態の詳細について報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。

(2) 検査の結果

 検査したところ、6学校法人において、補助金の交付申請に当たり、事業団に提出した算定資料に、補助金の額の算定対象とならない専任教員等を記入したり、情報の積極的な提供の内容が補助金の増減率の加算の要件を満たしていないのにこれを満たしている旨を記入したり、特別補助の算定対象とならない学生数を記入したりなどしていたのに、事業団は、この誤った算定資料に基づいて補助金の額を算定していた。このため、補助金130,601,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、6学校法人が、補助金の制度を十分に理解していなかったり、算定資料の作成に当たりその内容の確認を十分に行っていなかったりなどしているのに、事業団において、これらの学校法人に対する指導及び調査が十分でなかったことによると認められる。
 これを学校法人別に示すと、次のとおりである。

  事業主体 年度 補助金交付額 不当と認める補助金額
(本部所在地) 千円 千円
(388) 学校法人 高崎商科大学
(群馬県高崎市)
20 134,483 2,338
21 108,960 1,534
    小計 243,443 3,872

 上記の学校法人は、事業団に提出した算定資料に、高崎商科大学及び高崎商科大学短期大学部における平成20年度の情報の積極的な提供に係る財産目録等の公開方法について、誰でも入手可能な印刷物を配布しているなどと記入していたが、情報公開の対象を利害関係人に限るなどしていたため、情報の積極的な提供による増減率の加算の対象とはならない。
 また、同短期大学部における21年度のインターンシップの推進に係る特別補助の算定対象となる学生数を実人員数でなく見込みで計上するなどしていた。
 したがって、これらを除外するなどして算定すると、適正な補助金の額は、20年度132,145,000円、21年度107,426,000円となり、それぞれ2,338,000円、1,534,000円、計3,872,000円が過大に交付されていた。

(389) 学校法人 桐丘学園
(群馬県みどり市)
20 95,132 3,081

 上記の学校法人は、事業団に提出した算定資料に、桐生大学短期大学部における平成20年度の短大・高専の教育組織の高度化(専攻科)支援及び看護師養成に係る特別補助の該当があると記入していたが、両特別補助の基礎となる看護学科は、20年度から学生募集を停止していて補助の対象とならない学科であった。
 したがって、これらを除外して算定すると、適正な補助金の額は、92,051,000円となり、3,081,000円が過大に交付されていた。

(390) 学校法人 廣池学園
(千葉県柏市)
20 491,612 7,006

 上記の学校法人は、事業団に提出した算定資料に、麗澤大学における平成20年度の教育研究拠点大学院重点経費のうち大学院基盤分に係る特別補助の調整率の算出の基礎となる研究科ごとの過去3年間の修了者数について、単位取得満期退学者を除外して記入していた。
 したがって、修了者数に単位取得満期退学者を含めて算定すると、修了者数に占める学位授与数の割合が下がることから、適正な補助金の額は、484,606,000円となり、7,006,000円が過大に交付されていた。

(391) 学校法人 慶應義塾
(東京都港区)
20 8,863,615 95,463
21 8,694,005 14,566
    小計 17,557,620 110,029

 上記の学校法人は、事業団に提出した算定資料に、慶應義塾大学における平成20、21両年度の補助金の額の算定対象となる専任教員等について、1週間の割当授業時間数が所定の時間数を下回っていた教員を含めて記入していた。
 また、20年度の教育研究拠点大学院重点経費のうち大学院基盤分に係る特別補助の調整率の算出の基礎となる研究科ごとの過去3年間の修了者数を過少に計上するなどしていた。
 したがって、これらを除外するなどして算定すると、適正な補助金の額は、20年度8,730,681,000円、21年度8,679,439,000円となり、それぞれ95,463,000円、14,566,000円、計110,029,000円が過大に交付されていた。

(392) 学校法人 拓殖大学
(東京都文京区)
20 961,651 3,703
21 943,531 685
    小計 1,905,182 4,388

 上記の学校法人は、事業団に提出した算定資料に、拓殖大学における平成20年度の教育研究拠点大学院重点経費のうち大学院基盤分に係る特別補助の算定対象となる専任教員数について、専任教員等の認定基準を満たしていない助教及び助手を含めて記入するなどしていた。
 したがって、これらを除外して算定すると、適正な補助金の額は、20年度957,948,000円、21年度942,846,000円となり、それぞれ3,703,000円、685,000円、計4,388,000円が過大に交付されていた。

(393) 学校法人 九州国際大学
(北九州市)
20 244,612 999
21 206,433 1,226
    小計 451,045 2,225

 上記の学校法人は、事業団に提出した算定資料に、九州国際大学における平成21年度の教育研究拠点大学院重点経費のうち大学院基盤分に係る特別補助の調整率の算出の基礎となる研究科ごとの博士課程・博士後期課程に限る過去3年間の修了者数及び学位授与数について、修士課程の修了者数及び学位授与数を記入するなどしていた。
 したがって、これらを除外して算定すると、適正な補助金の額は、20年度243,413,000円、21年度196,932,000円となり、それぞれ999,000円、1,226,000円、計2,225,000円が過大に交付されていた。

(388)—(393)の計 20,744,034 130,601