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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第14 全国健康保険協会|
  • 不当事項|
  • 予算経理

生活習慣病予防健診申込データ入力業務に係る委託契約の締結に当たり、会計規程等に違背して、本来行うべき契約手続を行わなかったため、契約書に基づいた違約金の請求をすることができなかったもの


(395) 生活習慣病予防健診申込データ入力業務に係る委託契約の締結に当たり、会計規程等に違背して、本来行うべき契約手続を行わなかったため、契約書に基づいた違約金の請求をすることができなかったもの

科目 (健康保険勘定) 雑益
部局等 全国健康保険協会本部
契約名 生活習慣病予防健診申込データ入力業務委託
契約の概要 生活習慣病予防健診申込書を集荷し、その記載内容を入力した電子媒体とともに納品するもの
契約の相手方 株式会社プラムシックス
契約 平成22年4月 一般競争契約(単価契約)
契約額 62,707,418円 (平成22年度)
契約書に基づいて請求することができなかった違約金 5,138,980円 (平成22年度)

1 委託契約の概要

 全国健康保険協会(以下「協会」という。)は、平成22年4月1日に、生活習慣病予防健診申込データ入力業務を一般競争契約(単価契約)により株式会社プラムシックス(以下「会社」という。)に委託している(契約単価に予定数量を乗ずるなどして算出した契約額62,707,418円)。
 本件委託業務は、協会が、健康保険法(大正11年法律第70号)に基づく健康保険事業の一環として、健康保険の被保険者で生活習慣病予防健診を申し込む者が協会支部(47都道府県に所在。以下「支部」という。)に提出した生活習慣病予防健診申込書(以下「申込書」という。)を、毎週2回各支部から集荷し、その記載内容を電子媒体に入力した上で、当該電子媒体とともに集荷日から3営業日後に各支部に納品するものである。
 全国健康保険協会会計規程(平成20年規程第38号。以下「会計規程」という。)によると、協会の契約責任者は、契約を締結しようとするときは、その履行に関し必要な条項を記載した契約書を作成しなければならないこととなっている。そして、本件の入札説明書では、協会理事長が契約の相手方とともに契約書に記名押印しなければ本件契約は確定しないとされている。
 また、本件契約の契約書では、受託事業者がその責めに帰す理由により契約期間中に契約の全部又は一部を履行しないときなどには、協会は契約を解除できることとされている。そして、この場合、受託事業者は、違約金として、契約単価に入力データの予定件数から納品された入力データの件数を差し引いた件数を乗じて得た金額の100分の10に相当する金額を、協会の指定する期限内に協会に納付しなければならないとされている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、協会において、合規性等の観点から、本件契約の契約手続等が会計規程等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、契約書、仕様書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 前記のとおり、各支部から集荷された申込書は、集荷日から3営業日後にその記載内容を入力した電子媒体とともに、会社が各支部に納品することとされているが、22年4月1日の業務開始後間もない同月7日の納期分から納品が遅滞し始めたことから、協会は、会社に対して、納品の遅滞を早期に解消するよう改善を申し入れたところ、同月16日、会社から受託業務の継続が困難であるとの申出を受けたため、同月20日に本件契約を解除した。
 しかし、協会は、事務手続の遅れから、契約書に契約の相手方の記名押印を得ておらず、本件委託業務の開始後においても、契約が確定しないままの状態となっていた。
 このため、本件契約を解除したにもかかわらず、協会は、会社に対して契約書に基づいた違約金5,138,980円を請求することができないまま、契約解除に伴う債権債務について会社と交渉を行うことになり、同年10月8日に、会社に対して違約金の請求等に係る交渉を行ったものの、会社と合意することができなかった。
 その後、協会は、会社との交渉の結果、23年7月6日付けで、本件契約の解除前に既に納品された分に係る業務遂行の対価として、会社に対して6,160,693円の支払義務があること及び本件に関して会社との間でこの他に債権債務は存在しないことについて合意書を作成し、同年8月1日に、同額を会社に支払っていた。
 したがって、協会において、会計規程等に基づいて委託業務の開始前に契約を確定していれば、契約書に基づいた違約金の請求ができたと認められるのに、会計規程等に違背して、本来行うべき契約手続を行わなかったために、契約書に基づく違約金5,138,980円の請求をすることができなかったことは適切でなく、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、協会において、会計規程等を遵守して適正な契約手続を行うことへの認識が十分でなかったことなどによると認められる。