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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第15 日本年金機構|
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  • 役務

厚生年金加入記録のお知らせを送付対象者ではない者に対して送付していたため、送付件数が過大となっていたもの


(396) 厚生年金加入記録のお知らせを送付対象者ではない者に対して送付していたため、送付件数が過大となっていたもの

科目 業務経費
部局等 日本年金機構本部
契約名 厚生年金加入記録のお知らせ(受給者等)の通知書作成及び発送準備業務(6〜11月送付分)
契約の概要 厚生年金加入記録のお知らせの作成及び発送準備業務
契約の相手方 7会社
契約 平成22年4月 一般競争契約
過大となっていた送付件数 19,081件
上記の送付に要した費用 4,190,351円(平成22年度)

1 業務の概要

(1) 受給者便の概要

 日本年金機構(以下「機構」という。)は、厚生年金の記録において保険料計算の基礎となる標準報酬月額の金額等が事実と異なっている場合があることから、その記録の確認を依頼するため、平成22年1月から11月までの間、厚生年金の年金受給者等に対して「厚生年金加入記録のお知らせ」(以下「受給者便」という。)を送付していた。また、機構は、被保険者に対しても受給者便と内容がほぼ同一のねんきん定期便を22年1月から送付して、標準報酬月額等の記録の確認を依頼している。
 受給者便は、年金記録問題に関する関係閣僚会議(20年9月9日)において、厚生年金受給者全員に対し、標準報酬月額の情報を含むお知らせの送付を開始し、標準報酬月額及び資格喪失日の記録の確認を依頼することとされ、これにより、21年12月には社会保険庁が、22年1月から11月の終了時までは機構が、合わせて約2631万人に対して送付している。
 受給者便の送付対象者は、年金受給者であって厚生年金保険等の被保険者期間を有する者等とされている。これらの者のうち、厚生年金保険の適用事業所に雇用されていて被保険者でもある者は、ねんきん定期便の送付を受けることから、受給者便の送付対象者としないこととしている。

(2) 受給者便対象者データの作成

 社会保険庁は、機構設立(22年1月)前の21年7月及び11月に、受給者便の送付対象者を選定するため、システム基本計画書(開発指示書)(以下「指示書」という。)を作成し、これに基づいて受給者便の送付対象者に係るデータ(以下「受給者便対象者データ」という。)の作成を同庁のデータ運用支援を受託している会社に指示した。
 これらの業務については、同庁から年金関係業務を引き継いだ機構が引き継ぎ、機構は、データ運用支援を受託している会社から受給者便対象者データの引渡しを受けている。

(3) 受給者便の作成、発送準備等の業務

 機構は、前記のとおり22年1月から11月までの間、受給者便を送付するに当たり、受給者便の作成及び発送準備の業務を、民間業者に委託(以下、当該民間業者を「委託業者」という。)することとし、同年1月から4月までの間に、13会社と17契約を締結している。その際、機構は受給者便対象者データを委託業者に貸与することにより当該業務を実施させている。そして、機構は、委託業者が作成した受給者便の納品を受けた後、自ら郵送により発送している。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、経済性等の観点から、受給者便は送付対象者の選定及び確認を正確に行った上で送付されていたかなどに着眼して、機構本部において、前記の17契約等を対象として、指示書、委託業者との契約書、仕様書、委託業者との受給者便対象者データの授受に関する書類等により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、上記の17契約のうち、22年4月に7会社と締結した7契約(支払額計1,335,486,208円)について、次のような事態が見受けられた。
 すなわち、社会保険庁が、21年11月に、上記の7会社との契約に係る受給者便対象者データの基となる指示書を作成した際、誤って、当該指示書では、ねんきん定期便の送付対象者のうち直近の送付物の記録がねんきん定期便以外であった者については、ねんきん定期便の送付対象者であっても送付対象者ではないと判定し、受給者便対象者データに含める指示内容となっていた。
 そして、機構は、社会保険庁から業務を引き継ぐ際に、指示書の内容を十分確認しなかったため、データ運用支援を受託している会社は、これを基に、受給者便の送付対象者ではない者を含んだ受給者便対象者データを作成することとなった。機構は、22年5月に、このようにして作成された受給者便対象者データを同会社から引渡しを受けて、前記の7会社に貸与していたことから、受給者便の送付対象とすべきではないねんきん定期便の送付対象者19,081人に対して受給者便を送付していた。
 したがって、上記の19,081件の受給者便は、送付する必要がなかったと認められ、これらの通知書作成及び発送準備業務、郵送等に要した費用計4,190,351円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、機構において、社会保険庁から業務を引き継ぐ際に、受給者便の送付対象者を選定するための指示書の内容の確認や受給者便対象者データが正しく作成されているかの確認が十分でなかったことによると認められる。