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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第16 独立行政法人情報通信研究機構|
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  • 役務

光デバイスの試作・研究開発を行うための各種装置の維持管理等に係る業務委託において、実際とは異なる従事時間数に基づいて契約代金を算定していたため、契約代金が過大に支払われていたもの


(398) 光デバイスの試作・研究開発を行うための各種装置の維持管理等に係る業務委託において、実際とは異なる従事時間数に基づいて契約代金を算定していたため、契約代金が過大に支払われていたもの

科目 一般勘定 (項)作業請負費
部局等 独立行政法人情報通信研究機構本部
契約名 光デバイスプロセス装置の保守、管理並びに装置による加工作業及びプロセスデータ収集作業のための業務委託等5契約
契約の概要 光デバイスの試作・研究開発を行うための各種装置の維持管理を行ったり、同装置を用いる作業の補助を行ったりなどするもの
契約の相手方 株式会社リンクトゥモロー
契約 平成17年3月、18年4月、19年4月、20年4月、21年4月
  一般競争契約、随意契約
支払額 64,745,838円 (平成17年度〜21年度)
過大になっていた支払額 12,952,955円 (平成17年度〜21年度)

1 契約の概要等

(1) 契約の概要

 独立行政法人情報通信研究機構(以下「機構」という。)は、平成17年度から21年度までの各年度に、半導体等を用いた光デバイスの試作・研究開発を行うための各種装置の維持管理等に係る業務を、17、19、20各年度は一般競争契約により、また、18、21両年度は随意契約により、それぞれ株式会社リンクトゥモロー(以下「会社」という。)に委託して行わせており、契約代金として計64,745,838円を支払っている。
 機構は、各年度の仕様書等において、作業員3名を機構の閉庁日を除く毎日、原則として午前8時30分から午後5時30分までの間(以下、この時間の作業を「時間内作業」という。)、機構本部内の上記の各種装置が設置されている研究室に常駐させることとしている。そして、午後5時30分以降に行う業務(以下、この時間の作業を「時間外作業」という。)は、作業員1名ごとに月20時間を上限とすることなどとしている。

(2) 契約の履行の完了の確認等

 機構は、契約の履行の完了を確認するに当たり、独立行政法人情報通信研究機構会計規程(平成16年04規程第10号)等に基づき、資産担当が、自ら又は補助者に命じて必要な検査を行う(以下、この検査を行う者を「検査員」という。)こととしており、本件契約においては、業務委託の要求元の研究室の職員等を検査員としている。
 機構は、本件契約において、作業員1名の1時間当たりの契約単価(17年度から21年度までの間で、時間内作業については1,880.55円から1,919.4円、時間外作業については2,454.9円から2,493.75円)に、作業に従事した時間数(以下「従事時間数」という。)を乗じて契約代金を算定することとしている。そして、従事時間数については、検査員が、毎月、会社から提出される日々の作業員ごとの時間内作業及び時間外作業の従事時間数が記載されたタイムシートにより確認することとしている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点及び方法

 本院は、合規性等の観点から、本件業務委託に係る契約代金の支払が適切かなどに着眼して、機構本部及び会社において、タイムシート、契約書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、タイムシートには、作業員3名全員が機構の閉庁日を除くほぼ毎日時間内作業に従事し、時間外作業についても、ほぼ毎月全員が委託時間の上限となる20時間ずつ業務に従事したなどと記載されており、これによると、各年度の従事時間数は、17年度から21年度までの間で、時間内作業については5,720.5時間から6,354.5時間、時間外作業については706.5時間から723時間となっていた。そして、検査員である、業務委託の要求元の研究室の職員等は、会社から提出されたタイムシートの従事時間数が実際の従事時間数であるかどうかについて確認することなく、これを適正な従事時間数であるとしていた。
 一方、機構は、別途、会社から毎月、業務報告書を提出させており、この報告書には作業員ごとの実際の従事時間数を示す書類が一部添付されていたことなどから、会社において作業員の勤務状況を確認したところ、実際の各年度の従事時間数は、17年度から21年度までの間で、時間内作業については4,699.5時間から5,671時間、時間外作業については3.25時間から83.5時間となっていて、タイムシートに記載されていた従事時間数は、実際の従事時間数に比べて、時間内作業について259.5時間から1,180.5時間、時間外作業について635.5時間から716.75時間、それぞれ過大となっていた。
 したがって、実際の従事時間数に基づくなどして契約代金を算定すると、17年度から21年度までの間で計51,792,883円となり、前記契約代金の支払額計64,745,838円との差額計12,952,955円が過大に支払われていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、機構において、契約の履行の完了を確認するための検査を適切に実施していなかったことなどによると認められる。