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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第21 独立行政法人農畜産業振興機構|
  • 不当事項|
  • 補助金

肉骨粉適正処分対策事業補助金が過大に交付されていたもの


(1) 補助金の交付額の算定が適切でなかったもの

1件 不当と認める機構の補助金 12,315,106円

 肉骨粉適正処分対策事業補助金が過大に交付されていたもの

(1件 不当と認める機構の補助金 12,315,106円)

 肉骨粉適正処分対策事業(平成21年3月31日以前は肉骨粉適正処分緊急対策事業)は、肉骨粉適正処分対策事業実施要綱(平成21年21農畜機第106号。以下「実施要綱」という。)等に基づき、社団法人日本畜産副産物協会(以下「副産物協会」という。)が、飼肥料等の原料としての利用が禁止されている牛由来の肉骨粉等の適正処分を推進するなどのため、都道府県知事の許可を受けた事業者等が行う肉骨粉等原料のレンダリング処理(注) 及び適正な焼却処分に必要な経費の一部について補助金を交付する事業に対して、これに必要な費用の全額を機構が補助するものである。
 実施要綱等によれば、補助対象経費は、肉骨粉等の製造に要する経費及び焼却に要する経費とされており、このうち焼却に要する経費は焼却費、輸送費等であり、輸送費は焼却処理場までの輸送費とされている。そして、輸送費に係る補助金額は、輸送距離50km以下は3.4円/kg、51km以上100km以下は5.2円/kg等と定められている補助単価に輸送した肉骨粉等の数量を乗じて得た額又は実費額のいずれか小さい額とされている。

 レンダリング処理  牛、豚、家きんなどのと畜残さである骨等の畜産副産物を油脂と肉骨粉等に分離・抽出する処理

 本院が、機構、副産物協会及び11事業主体において会計実地検査を行ったところ、1事業主体において次のような事態が見受けられた。

  補助事業者 間接補助事業者 補助事業 年度 事業費 左に対する機構の補助金相当額 不当と認める事業費 不当と認める機構の補助金相当額
千円 千円 千円 千円
(399) 社団法人日本畜産副産物協会 長崎油飼工業株式会社
(事業主体)
肉骨粉適正処分対策 18〜22 793,469 793,469 12,315 12,315

 長崎油飼工業株式会社は、平成18年度から22年度までの間に、肉骨粉等原料のレンダリング処理及び適正な焼却処分に必要な経費として、副産物協会から補助金計793,469,470円(肉骨粉等の製造に要する経費計440,066,439円、焼却に要する経費計353,403,031円)の交付を受けていた。このうち焼却に要する経費には、肉骨粉等を長崎県諌早市に所在する製造工場から同県東彼杵郡川棚町に所在する焼却処理場まで輸送する経費(以下「川棚町までの輸送費」という。)が含まれており、同社は、川棚町までの輸送費として、輸送業者の請求書に基づき計35,576,975円(消費税を除く。)を当該輸送業者に支払っていた。そして、同社は、川棚町までの輸送費については、輸送業者の請求書に記載された製造工場から焼却処理場までの輸送距離が53kmとなっていたことから、実施要綱等で定められている輸送距離51km以上100km以下の補助単価5.2円/kgに輸送した肉骨粉等の数量を乗じて算定した結果、各年度とも上記輸送業者の請求金額と同額であったことから、計35,576,975円を事業費として、これと同額の補助金の交付を受けていた。
 しかし、製造工場から焼却処理場までの距離を複数の車両及びルートにより実測したところ、いずれも40kmを下回っていた。
 したがって、輸送距離50km以下の補助単価3.4円/kgに輸送した肉骨粉等の数量を乗ずるなどして、18年度から22年度までの適正な補助金交付額を算定すると計781,154,364円となり、前記の補助金交付額計793,469,470円との差額計12,315,106円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同社において、本件補助事業の補助金額の算定に対する理解が十分でなかったこと、副産物協会において、本件補助事業の審査確認及び同社に対する指導が十分でなかったこと、機構において、副産物協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。