会計名及び科目 | 一般勘定 (項)国民参加型協力関係費 | |
部局等 | 独立行政法人国際協力機構本部、8国際センター、1支部 | |
委託事業の概要 | 国内の特定非営利活動法人等が開発途上地域の住民を対象として当該開発途上地域の経済及び社会の開発又は復興に協力することを目的として行う活動を促進し、助長するための業務を行うもの | |
委託費に消費税相当額を計上していた免税事業者の契約件数 | 41件 | |
上記に係る委託費の精算額 | 3億1314万余円 | (平成17年度〜22年度) |
上記のうち委託費として計上する必要がなかった消費税相当額 | 1101万円 |
独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)は、国内の特定非営利活動法人等が開発途上にある海外の地域(以下「開発途上地域」という。)の住民を対象として当該開発途上地域の経済及び社会の開発又は復興に協力することを目的として行う活動を促進し、助長するための事業として草の根技術協力事業を実施している。本件事業の実施に当たって、全国に設置された機構の国際センター等は、開発途上地域からの技術研修員に対する技術の研修並びに開発途上地域に対する技術協力のための人員の派遣及び機材の供与について、地方公共団体、特定非営利活動法人等から実施案件を公募し、応募者から提出された事業提案書を審査し、選考を行うなどして受託者を決定している。
機構は、本件事業についての募集要項を制定しており、同要項によると、各国際センター等は、見積書等に基づき応募者と契約金額を確定した後、委託契約を締結し、委託契約の終了時に、実際の支出額を計算した経費精算報告書及びその証拠書類を受託者から提出させ、これを審査して委託費の精算を行うこととされている。
また、同要項の別冊である経費積算ガイドライン(以下「ガイドライン」という。)によれば、本件事業の対象経費は海外活動費、国内活動費、設備・機材費、直接人件費、管理費及び消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)相当額とされている。そして、受託者が消費税の免税事業者(課税期間に係る基準期間(法人の場合は前々事業年度)における課税売上高が1000万円以下である事業者)の場合は、当該受託者が負担する必要がない消費税相当額は計上しないこととされている。
(検査の観点、着眼点、対象及び方法)
本院は、合規性等の観点から、機構が本件事業の実施に当たり、見積書の審査や事業終了時の委託費の精算等を適切に行っているか、特に本件事業の受託者には比較的小規模な法人が多いことから、消費税相当額の計上の適否を受託者の納税実態に即して適切に審査しているかに着眼して、機構本部及び4国際センター等(注1)
において会計実地検査を行った。
検査に当たっては、本件事業を実施している他の国際センター等と合わせた16国際センター等(注2)
が平成17年度から22年度までに締結した契約のうち、特定非営利活動法人等を契約相手方とした610件の契約を対象として、免税事業者等に係る調書の作成及び提出を求めてこれを確認するなどの方法により検査した。
(注1) | 4国際センター等 大阪、九州、沖縄各国際センター、東北支部
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(注2) | 16国際センター等 広尾センター、札幌、帯広、筑波、横浜、中部、大阪、兵庫、中国、九州、沖縄各国際センター、東北、北陸、四国各支部、二本松、駒ヶ根両青年海外協力隊訓練所
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(検査の結果)
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
前記610件の契約のうち、契約時及び精算時に受託者から提出を受けた見積書及び経費精算報告書において消費税相当額を計上していたものが224件あり、これらの契約については提出を受けた見積書等の内容に従って消費税相当額を含めて契約及び精算を行っていた。しかし、ガイドラインには、消費税相当額を見積書等に計上した受託者が消費税の課税事業者であることを証明する書類を提出することが明記されておらず、各国際センター等は、上記224件の委託契約の締結及び委託費の精算に当たり、受託者が課税事業者であるか否かを確認していなかった。
そこで、上記224件の契約について、受託者が課税事業者であるか否かを納税証明書等の書類により確認したところ、受託者が免税事業者となっているものが9国際センター等(注3)
で41件あった。
したがって、これらの受託者は消費税を負担していないのであるから、上記41件の委託費計3億1314万余円のうち消費税相当額1101万余円は対象経費に計上する必要がないものであった。
以上のように、委託契約の締結時及び委託費の精算時に、受託者が消費税の課税事業者であるか否かを確認しないまま、提出された見積書等に基づいて消費税相当額を対象経費に含めて契約し、精算を行っている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
(発生原因)
このような事態が生じていたのは、機構において、委託費に係る消費税の取扱いについて、ガイドラインでは受託者が消費税の免税事業者の場合は、当該受託者が負担する必要がない消費税相当額は対象経費に計上しないこととされているのに、契約時及び精算時の委託費の審査に当たって受託者が消費税の課税事業者であるか否かを具体的に確認する方法が定められていなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構は、23年7月に、前記の契約41件について、受託者に消費税相当額の返還を求めるとともに、委託費の算定等が適正なものとなるよう、同年9月にガイドラインを改正して、草の根技術協力事業の応募者が消費税の課税事業者であるか否かを確認するために納税証明書等の書類の提出を義務付けることとし、各国際センター等が委託費の審査を行うに当たっては、同証明書等の書類により確認するよう周知徹底を図る処置を講じた。