科目 | 業務費 | |
部局等 | 独立行政法人日本学術振興会 | |
滞在旅費の概要 | 海外センターの運営者等に対して支給される所在地において勤務するのに必要な旅費 | |
運営者等24名に対する住居手当相当額の支給額 | 6374万余円 | (平成19年12月〜22年12月) |
上記の支給額を外務公務員給与法等に準じて算定した支給額と比べた場合の超過額 | 2963万円 |
独立行政法人日本学術振興会(以下「振興会」という。)は、独立行政法人日本学術振興会法(平成14年法律第159号)等に基づき、諸外国の学術振興機関等との連携強化を図り、海外における振興会事業を円滑に実施するとともに、我が国の大学等学術研究機関が行う国際交流活動を支援することなどを目的として、9か国に10か所の海外研究連絡センター(注1) (以下「海外センター」という。)を設置し、海外の学術振興機関等との連携、海外センター主催によるシンポジウムの実施等の活動を行っている。そして、海外センターは、センター長、副センター長及び国際協力員(以下、これらを合わせて「運営者等」という。)により運営されるなどしている。
振興会は、運営者等に対して、海外センターの所在地において勤務するのに必要な旅費(以下「滞在旅費」という。)を支給している。
滞在旅費は、「海外研究連絡センター運営者に支給する経費の取扱い要領」(平成18年3月24日理事長裁定。以下「取扱要領」という。)等に基づき、在勤基本手当相当額と住居手当相当額との合計額とされており、このうち住居手当相当額については、「在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律」(昭和27年法律第93号。以下「外務公務員給与法」という。)等に定める住居手当の支給限度額を参考にして、海外センター別、役職別等に応じて定額の支給額が定められている。
振興会の滞在旅費のうち住居手当相当額については、前記のとおり定額支給となっている。そこで、本院は、経済性等の観点から、住居手当相当額は運営者等が現地で実際に支払っている家賃の額を反映した適切なものとなっているかなどに着眼して、平成22年8月時点で10か所の海外センターに所属していた運営者等31名について、19年12月から22年12月までの間に支給された滞在旅費計2億0802万余円(うち住居手当相当額計7475万余円)を対象として、振興会本部において、旅費計算書、住居の賃貸借契約書等の関係書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、10か所の海外センターのうち9か所の海外センター(注2)
に所属する運営者等20名について、支給された住居手当相当額が現地における実際の家賃の支払額を上回っていた。一方、振興会が参考とした外務公務員給与法等における住居手当の支給額は、家賃の額から政令で定める額を控除した額に相当する額などとされていて、実際の家賃の額を上回る額にはならないことになっている。
そこで、上記のように現地における実際の家賃の支払額を上回る住居手当相当額が支給されていたことに鑑みて、家賃にかかわらず定額の支給額とするのではなく、外務公務員給与法等に準じて、住居手当相当額を算定することとすると、上記の20名を含む10か所の海外センターに所属する運営者等24名に対して支給された住居手当相当額計6374万余円は3410万余円となり、その超過額は計2963万余円となっていた。
上記のように、滞在旅費のうち住居手当相当額が、現地における実際の家賃の支払額を上回っているなどの事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、振興会において、運営者等が現地で実際に支払っている家賃の額について十分に把握し、これを住居手当相当額に反映させて滞在旅費を支給することについての認識が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、振興会は、運営者等に対して支給される住居手当相当額が現地における実際の家賃の支払額を上回ることがないよう、22年12月及び23年8月に取扱要領等を改正するなどして、住居手当相当額を運営者等が現地で実際に支払っている家賃の額から一定額を控除するなどした額に改めることにより、滞在旅費の支給を適切なものとする処置を講じた。