科目 | 経常費用 | |
部局等 | 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構 | |
契約名 | 設備管理及び警備業務一式等6契約 | |
契約の概要 | メインキャンパス等の施設における警備業務等を委託するもの | |
契約の相手方 | 沖縄県ビルメンテナンス協同組合等3者 | |
契約 | 平成20年11月〜22年4月 一般競争契約 | |
契約額 | 203,109,690円 | (平成20年度〜22年度) |
割高となっていた契約額 | 3930万円 | (平成20年度〜22年度) |
独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構(以下「機構」という。)は、メインキャンパス、シーサイドハウス、沖縄科学技術研究・交流センターの各施設の防犯・防災監視等を行うため、平成20年度から22年度までの間に、これらの施設に係る警備業務等を、沖縄県ビルメンテナンス協同組合等3者に契約件数計8件、契約額計210,914,550円で委託している。
これらの委託契約の仕様書によると、警備業務は、平日、休日共に24時間勤務とされており、これに必要な要員を配置するとしている。
委託契約に係る予定価格調書等によると、警備業務は、各時間帯8時間(午前9時から午後5時まで、午後5時から午前1時まで、午前1時から午前9時までなど)の3交替制勤務で行うなどとしており、各時間帯において、通常時に必要な数の要員を配置し、さらに、メインキャンパスについては、通常時に配置する要員だけでは対応することが困難な異常事態等の発生時に備えて、各時間帯に交替要員を1名ずつ配置するとしている(以下、各時間帯に配置する要員数を「警備ポスト数」という。)。
そして、機構は、前記の委託契約に係る予定価格について、次のとおり積算していた。
本院は、機構において、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、前記の8契約を対象として、契約書、仕様書、予定価格調書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、前記の8契約のうち6契約(契約額計203,109,690円)について、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
ア 深夜勤務を含む時間帯に係る直接人件費の算定について
上記6契約のうち3契約において、深夜勤務を含む時間帯に係る直接人件費の算定に当たり、機構は、日割基礎単価に警備ポスト数及び業務日数を乗ずるなどして算定した直接人件費に加算する深夜勤務に係る割増額を次の算式により算定していた。
しかし、積算基準等によれば、上記の割増基礎単価は、日割基礎単価から家族手当等を除いたものを、1時間当たりの単価に換算したもので、深夜勤務を行う場合の割増しの基礎となる1時間当たりの単価であり、同単価に深夜勤務に係る割増率を乗ずることによって、深夜勤務に係る1時間当たりの割増単価を算出することとされていた。そして、この割増率は、労使間の協定による取決めなどの特別な理由がない限り100分の25とされていることから、次の算式により、深夜勤務に係る割増額を算定すべきであると認められた。
また、残りの3契約では、割増基礎単価に100分の25を乗じた額が深夜勤務に係る1時間当たりの割増単価であるにもかかわらず、誤ってこれに日割基礎単価の1時間当たりの労務単価を更に加算して深夜勤務に係る1時間当たりの割増単価としていた。
イ 直接人件費の算定における休憩時間の取扱いについて
前記6契約の全てにおいて、直接人件費の算定に当たり、各時間帯の勤務時間を1時間の休憩時間を含めて8時間と想定して、各時間帯の勤務時間(実働時間7時間)に、日割基礎単価をそのまま適用するなどしていた。
しかし、機構が用いた日割基礎単価は、休憩時間を含まず実働時間を8時間として設定されているものであることから、これをそのまま適用するなどしていたことは適切ではなく、休憩時間1時間を除いた実働時間7時間に合わせて日割基礎単価を減額するなどすべきであると認められた。
ウ 交替要員に係る直接人件費の算定について
前記6契約のうち1契約において、交替要員に係る直接人件費の算定に当たり、異常事態等の発生時に備えた交替要員を常時1名配置するとしていた。
しかし、交替要員の配置が必要となる異常事態等は、あらかじめ発生回数等を確定することが困難であることから、交替要員を常時配置することを見込んで交替要員に係る直接人件費を算定するのではなく、交替要員を配置した実績に基づき精算することとすべきであると認められた。
実際に、機構は、契約の履行前に、異常事態等が発生した場合には、請負業者が当日出勤していない者を急きょ出勤させるなどして同事態に対応することについて同意しており、交替要員は常時配置されることにはなっていなかった。
したがって、深夜勤務を含む時間帯に係る直接人件費を適切に算定するなどして予定価格を修正計算すると計163,514,904円となり、本件契約額計203,109,690円は、これに比べて約3930万円割高となっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、機構において、予定価格の積算に当たり、直接人件費に係る算定内容に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。