会社名 | (1) | 東日本電信電話株式会社 | ||
(2) | 西日本電信電話株式会社 | |||
科目 | 営業収益 | |||
部局等 | (1) | 本社、17支店 | ||
(2) | 本社、33 支店 | |||
添架管理業務の概要 | 電柱へ添架された他社ケーブルに係るデータの管理及びそのデータに基づき他社ケーブルの設置者に添架料の請求を行う業務 | |||
添架料の徴収対象となっている他社ケーブルの条数 | (1) | 2,487,159条 | (平成22年度末) | |
(2) | 3,998,789条 | (平成22年度末) | ||
上記に係る添架料徴収額 | (1) | 26億5248万余円 | (平成22年度) | |
(2) | 45億7653万余円 | (平成22年度) | ||
添架契約が締結されていない他社ケーブルに係る添架料 | (1) | 4683万円 | (平成22年度) | |
(2) | 3070万円 | (平成22年度) |
東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)は、平成22年度末現在、電話線等を架設する電柱を約1185万本(NTT東日本約568万本、NTT西日本約617万本)所有している。これらの電柱の中には、両会社以外の電気通信事業者等(以下「他事業者」という。)の通信ケーブル(以下「他社ケーブル」という。)を添架しているものがある。
電柱を管理する両会社の各支店は、他事業者と添架料単価(原則として他社ケーブル1条当たり年額1,200円)、添架条数(注1
)、添架施設の場所等を取り決めた添架契約を締結しており、他事業者から徴収した22年度における添架料は、NTT東日本で26億5248万余円(約248万条)、NTT西日本で45億7653万余円(約399万条)となっている。
両会社は、添架されている他社ケーブルに係るデータの管理業務及び添架料の請求業務(以下、両業務を合わせて「添架管理業務」という。)等を効率的に実施するため、設備貸借管理システム(Outside Plant Accounts system。以下「OPA」という。)を11年から運用している。各支店は、他事業者からの添架申請を承諾した場合、線路名、電柱番号、添架条数等(以下、これらの項目を合わせて「添架データ」という。)を、添架管理業務を行う部門(以下「管理部門」という。)において、電柱ごとにOPAに登録することとしている。
また、両会社は、電柱の安全性を確認するために電柱点検を実施しており、各支店の電柱点検を実施する部門(以下「点検部門」という。)は、両会社の本社がそれぞれ定めた点検項目について確認することとしている。そして、NTT西日本は、点検項目において他社ケーブルに係る添架データを把握することとしており、現地の添架状況とOPAの添架データとが一致していない場合は、その状況を記載した調査表を管理部門に提出することとしているが、NTT東日本は、この点検項目に他社ケーブルに係る添架データを把握することを含めていない。
各支店の電気通信設備工事を実施する部門(以下「工事部門」という。)は、上記の点検結果を踏まえるなどして計画的に電柱の建て替えを行う電柱更改工事を実施しているが、この電柱更改工事の実施に当たり、通信ケーブルを移設するよう他事業者に依頼するため、現地確認を行って他社ケーブルの添架状況を把握している。
近年、ケーブルテレビ加入世帯の増加等により、他社ケーブルの添架条数が増加している。そこで、本院は、合規性、経済性等の観点から、各支店が、OPAを使用して添架データを適切に管理しているか、添架料の徴収を適切に行っているかなどに着眼して、NTT東日本の6支店(注2 )、NTT西日本の11支店(注3 )の計17支店において会計実地検査を行うとともに、両会社の本社から添架料徴収に係る関係書類等の提出を受けるなどして、全50支店における添架データの管理状況や添架料の徴収状況について検査を行った。
(注2) | 6支店 東京、神奈川、長野、新潟、青森、北海道各支店
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(注3) | 11支店 大阪、大阪東、大阪南、滋賀、名古屋、福井、高知、福岡、北九州、大分、鹿児島各支店
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検査したところ、添架管理業務の実施状況について、次のような事態が見受けられた。
ア 支店における添架データの管理・活用状況
17支店において添架料請求額の計算に使用している添架条数とOPAに登録されている添架条数とを事業者ごとに比較したところ、OPAを使用して添架データを管理していなかったり、両者に開差が生じていたりしている事態が見受けられた。また、OPAには添架データが登録されていないが、隣接する電柱の添架データから他社ケーブルが添架されている可能性が高いと認められた電柱をNTT東日本で82本、NTT西日本で89本選定して現地確認したところ、それぞれ39本、41本の電柱に他社ケーブルが添架されており、OPAを使用した電柱ごとの添架データの管理が適切に実施されていなかった。
そこで、全50支店における添架データの管理状況を調査したところ、OPAを使用して添架管理業務を実施していた支店は、表のとおり、NTT東日本で1支店、NTT西日本で4支店のみであり、他の45支店は、独自に作成した表計算ソフト等(以下「支店システム」という。)を使用して添架管理業務を実施していた。
態様 | NTT東日本 | NTT西日本 |
OPAを使用して添架管理業務を実施していた支店 (5支店)
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群馬支店 | 名古屋、愛媛、高知、北九州各支店 |
OPAを使用せずに支店システムを使用して添架管理業務を実施していた支店 (45支店)
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東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、山梨、長野、新潟、宮城、福島、岩手、青森、山形、秋田、北海道各支店 | 大阪、大阪東、大阪南、和歌山、京都、奈良、滋賀、兵庫、静岡、岐阜、三重、金沢、富山、福井、広島、島根、岡山、鳥取、山口、香川、徳島、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島、宮崎、沖縄各支店 |
さらに、上記の45支店は、添架申請書の記載内容が適切に支店システムに登録されていなかったなどのため、添架データ等の管理ができておらず、添架されている他社ケーブルについて、添架契約を締結しているか確認することができない状況となっていた。
イ 電柱点検等で把握した添架データの活用状況
NTT東日本の全17支店の点検部門は、前記のとおり、電柱点検の点検項目に他社ケーブルに係る添架データを把握することを含めていないことから、この点検を行っておらず、添架データの把握を行っていなかった。また、NTT西日本の全33支店のうち25支店(注4
)の点検部門も、電柱点検において添架データの把握を行っていたものの、現地の添架状況とOPAの添架データとが一致しているかの確認を行っておらず、調査表も作成していなかった。一方、残りの8支店(注5
)は調査表を作成していたが、調査表に記載されたデータをOPAに登録していたのは2支店(注6
)のみであった。
また、両会社の工事部門は、現地確認した電柱ごとの添架データを、管理部門との間で共有する体制が整備されておらず、電柱ごとの添架データは、管理部門において、OPAのデータ管理に活用されていなかった。
(注4) | 25支店 大阪、大阪東、大阪南、和歌山、奈良、滋賀、兵庫、名古屋、三重、岡山、鳥取、山口、愛媛、香川、徳島、高知、福岡、北九州、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島、宮崎、沖縄各支店
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(注5) | 8支店 京都、静岡、岐阜、金沢、富山、福井、広島、島根各支店
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(注6) | 2支店 静岡、広島両支店
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本院の会計実地検査の結果を踏まえ、両会社の本社は、全国規模で通信ケーブルを添架している事業者が添架契約を締結することなく通信ケーブルを添架していないか調査したところ、23年6月において、NTT東日本で39,027条、NTT西日本で25,588条が添架契約を締結することなく添架されていて、これらに係る22年度分の添架料、NTT東日本で4683万余円、NTT西日本で3070万余円が徴収されていなかった。
他事業者が、故意に両会社と添架契約を締結することなく通信ケーブルを添架した場合には、その添架状況を直ちに把握することは困難であると思料されるものの、以上のように、両会社において、OPAを使用して電柱ごとの添架データを管理していなかったり、電柱点検等で把握した添架データを適時適切に活用していなかったりしていた事態や、添架契約が締結されていない他社ケーブルに係る添架料が徴収できていなかった事態は、いずれも適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、NTT東日本は23年7月に、NTT西日本は23年8月に、それぞれ各支店に対して指示文書を発するなどして、次のような処置を講じた。