科目 | 営業費用 | |
部局等 | 東日本電信電話株式会社本社 | |
契約名 | 家電量販店におけるフレッツコーナー運営委託基本契約(平成21年度) | |
契約の概要 | 家電量販店に設置されるフレッツコーナーにおいて、フレッツ光の勧奨・説明等の業務を委託するもの | |
契約 | 平成21年3月 随意契約 | |
支払額 | 17億2382万余円 | (平成21年度) |
上記のうち販売促進費の額 | 4億1459万余円 | |
領収書等により確認することができなかった販売促進費の額 | 3億7517万円 | (平成21年度) |
東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)は、フレッツ光等の商品を提供、販売しており、その一環として、家電量販店の店舗内にフレッツ光等を販売するための売場(以下「フレッツコーナー」という。)を設置している。
そして、NTT東日本コンシューマ事業推進本部(以下「CS本部」という。)は、平成21年3月に、ブロードバンド販売支援業務を行う会社(以下「A会社」という。)とフレッツコーナーの運営を支援する業務を委託する基本契約を締結し、同契約に基づき四半期ごとに、契約金額、フレッツ光等の販売目標件数等を定める個別契約(以下、基本契約と個別契約を合わせて「運営委託契約」という。)を締結している。そして、CS本部は、運営委託契約に基づき、毎月委託費を支払っており、支払金額は17億2382万余円となっている。
この委託費は、販売促進費、販売員等の人件費、販売件数に応じて増減する成果連動額等から構成されており、このうち、販売促進費は、家電量販店の店舗の現地調査に要する人件費やフレッツコーナーの装飾品、来店者に配布する景品の購入費等であり、個別契約書によれば実費精算することとされている。なお、22年度の契約からは、委託費に販売促進費を含めないこととしているが、CS本部では、今後も、本件契約と同様に一部に実費精算を含む契約を締結することが見込まれている。
NTT東日本は、経理規程(平成11年社長達東第76号)、監査規程(平成11年社長達東第73号)等の各種規程を整備するとともに、18年5月に「内部統制システムの整備に関する基本方針」を定め、内部統制の充実・強化に努めている。経理規程では、財務及び会計に関する事務を正確かつ迅速に処理し、その財政状態及び経営成績に関し真実明瞭な報告を提供することなどを、また、監査規程では、本社等の各組織及び各事業部は会計処理等を対象とする監査及び契約業務監査(以下、これらの監査を「部内監査」という。)を実施し、財 務部は各組織等による部内監査の有効性を含めて内部監査を実施することなどを、それぞれ定めている。
そして、NTT東日本は、経理規程に基づき、収入、支出事務等の手続を定めた会計事務処理マニュアル(平成11年7月制定。以下「マニュアル」という。)を制定しており、マニュアルによると、支払先及び支払金額の正当性、支払時期の妥当性等の確認を契約書、請求書及びその他の会計書類により行うこととしている。また、CS本部は、同本部内での運用指導に用いる手引書として「契約お助けガイドブック」(以下「ガイドブック」という。)を作成しており、ガイドブックによると、実費精算する場合には、契約書において、実費精算する旨の記載を行うとともに、領収書等の精算内容が確認できる書類の提出を相手方に義務付ける旨の記載を行うこととされている。
本院は、合規性、経済性等の観点から、CS本部において、販売促進費に係る実費精算は適切に行われているか、会計経理における統制は適切に機能しているかなどに着眼して、本件契約を対象に、契約書、仕様書、請求書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
CS本部は、個別契約書において、「販売促進費は実費精算とする」としか記載しておらず、領収書等の精算内容が確認できる書類の提出をA会社に義務付ける旨を記載していなかった。
そして、CS本部は、毎月の販売促進費の支払に当たり、請求書の金額と請求書に添付されている内訳書の金額が合致していること、請求書に記載された金額があらかじめCS本部の算定した金額を下回っていることについてのみ確認を行っていて、マニュアルに基づく契約書、請求書及びその他の会計書類による支払金額の確認を適切に行っていなかった。さらに、CS本部は、マニュアルに対する理解が十分でなかったため、このような確認方法を適正であると認識していた。
そこで、本院は、21年度分の販売促進費4億1459万余円について、領収書等の精算内容が確認できる書類の提出をCS本部に求め、支払金額及び支払年月日について確認したところ、領収書等により確認できたものが3941万余円あったが、本件委託業務に係る販売促進費としてA会社が支出した事実を確認できなかったものが3億7517万余円見受けられた。
以上のように、販売促進費を支払う際にCS本部がマニュアルに基づき支払金額についての確認を適切に行っていなかった事態及びこのような状況であったにもかかわらずこれを部内監査においても認識しえなかった事態は、CS本部において内部統制が有効に機能している状況とは認められず、改善を図る必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、CS本部において、マニュアル等の社内規程に基づく事務処理に対する認識及び理解が十分でなく会計経理における統制が適切に機能していなかったり、実費精算についての点検項目を明確に定めておらず部内監査が適切に機能していなかったりしていたことなどによるものと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、NTT東日本は、次のような処置を講じた。