ページトップ
  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成23年9月

各都道府県に移管された高校奨学金事業について、運営状況等を的確に把握し、これに基づいて必要な助言等を行うなどの所要の対応を執るなどして、将来にわたって適切な運営が確保されるよう文部科学大臣に対して意見を表示したもの


3 本院が表示する意見

 高校奨学金事業は、教育の機会均等に寄与するとともにセーフティネットとしての役割も有するとされている。貴省は、このような高校奨学金事業の担う社会的な役割の重要性等に鑑み、機構奨学金事業を都道府県に移管した後も貸与水準が維持されなければならず、奨学生を始めとする国民の利便性が損なわれることがあってはならないとして、同水準が維持されるよう交付金を交付しており、今後数年間にわたり、引き続き多額の交付金を都道府県に対して交付することとしている。
 また、移管奨学金事業のうち交付金に都道府県が調達した資金を合わせて運営されている事業においては、機構から移管された高校奨学金事業に係る奨学金事業と従前から都道府県が実施していた高校奨学金事業に係る奨学金事業とが一体不可分の関係で運営されるなどしていることから、現在、各都道府県により運営されている移管奨学金事業において返還金の適切な回収等を行いつつ事業全体の貸与水準を将来にわたって継続かつ安定して維持していくことによって、機構から移管された高校奨学金事業に係る奨学金事業についても移管前の貸与水準を確保していくことが可能となる。
 ついては、各都道府県が運営する移管奨学金事業において、交付金の交付が行われている期間はもとよりその交付終了後においても、必要となる奨学資金が不足し、奨学金の貸与を必要とする生徒への貸与が十分に行われないこととなる事態の発生を抑止するとともに、高校奨学金事業が有する社会的な役割等が損なわれることのないよう、貴省において、移管奨学金事業の適切な運営の確保を図るよう次のとおり意見を表示する。

ア 各都道府県に対して、機構奨学金事業の移管に伴う財源措置の内容等について、再度、周知徹底を図るとともに、適時適切に移管奨学金事業における将来的な収支予測等を実施したり見直したりすることなどについて周知すること

イ 各都道府県が運営している移管奨学金事業の内容、実施方法、運営状況等の実態について適時適切に調査するなどして的確に把握すること

ウ 上記イの調査結果等に基づき、次の(ア)及び(イ)について、各都道府県に必要な助言等を行うこと

(ア) 将来的な収支予測等の結果等に基づいて必要な対応策等を講ずること
(イ) 回収率の向上を図るための具体的な施策を十分に講ずること