機構に対する政府出資金については、これまでも不要財産の国庫返納を行うなど適切な規模となるよう一定の見直しが図られているが、前記のとおり機構において引き続き相当規模の政府出資金を保有することが見込まれるとともに、今後も証券化支援事業等の利用実績の増加に伴い国からの追加出資が行われることも見込まれる。
また、前記のとおり、機構は、東日本大震災の影響を勘案して、22年度決算において、証券化支援勘定で貸倒引当金の積増しを行うなどしているが、今後、東日本大震災に伴う貸倒引当金の更なる積増しや二重ローン問題に対応するため、国から機構に対する新たな財政措置として追加出資が必要となる可能性もある。
一方、近年の我が国の厳しい財政状況に鑑みれば、証券化支援勘定等における政府出資金については、東日本大震災への対応等のために今後必要となる事業の見込みや、機構の発行する資産担保証券等に対する政府出資金の国庫返納等に伴う市場の反応等にも留意しつつ、運用益対応出資金も実質的に機構の自己資本としてリスク対応の役割を果たしていること、リスク対応出資金も運用益対応出資金の期待利回りに対して一定程度の運用収益を得るという役割を果たしていることなどを十分に踏まえて、真に必要となる政府出資金の額を検討する必要がある。
ついては、国土交通省及び機構において、運用益対応出資金とリスク対応出資金のそれぞれが果たしている役割に重複している部分があることを考慮して真に必要となる政府出資金の額を検討し、必要額を超えて保有されていると認められる政府出資金については、機構において国庫に返納したり、国土交通省において追加出資の際にその分を控除したりするなど必要な処置を講ずることにより、証券化支援勘定等における政府出資金を適切な規模とするよう意見を表示する。