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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成22年12月

都道府県及び政令指定都市における国庫補助事業に係る事務費等の不適正な経理処理等の事態、発生の背景及び再発防止策について


 都道府県及び政令指定都市における国庫補助事業に係る事務費等の不適正な経理処理等の事態、発生の背景及び再発防止策について

検査対象 農林水産省、国土交通省、47都道府県、18政令指定都市
検査の対象とした経理処理 都道府県及び政令指定都市における農林水産省及び国土交通省所管の国庫補助事業に係る事務費等の支出に係る経理処理
事態の概要 不適正な経理処理等により国庫補助事業に係る事務費等が支出されていた事態
不適正な経理処理等により支出されていた国庫補助事務費等の額 52億8898万円(平成13年度〜20年度)
上記のうち国庫補助金相当額 25億9520万円

1 検査の背景

 一部の府県において、長年にわたり不適正な経理処理による資金のねん出が行われていた事態が平成18年から19年にかけて明らかとなって、当時、公金を扱う地方公共団体の会計経理に関して社会的な関心が高まり、19年6月に参議院決算委員会が行った「平成17年度決算審査措置要求決議」において、地方自治体の裏金問題について、地方自治体の監査が十分に機能していないことなどが背景にあるとして、政府は、地方自治体の監査に対し、積極的に指導を行うなど適切な措置を講ずるべきであるとされた。
 これらの不適正な経理処理による資金のねん出等の事態は、一義的には地方公共団体自身の経理の問題であるが、不適正な経理処理の対象となった公金の中に、国庫補助金(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第2条第1項に規定する「補助金等」。以下「補助金等」という。)が含まれていれば、会計検査院としてもその状況を確認して、必要に応じて是正させる必要がある。
 前記の府県では自ら内部調査を行い不適正な経理処理があったことを明らかにしているが、会計検査院がそれらの府県を対象として19年次に不適正経理と補助金等との関連等について検査したところ、不適正な経理処理等により支払った需用費、賃金、旅費等の中に、主として、公共事業の補助金等に係る事務費が含まれているものなどがあったことから、その検査状況を平成18年度決算検査報告 に掲記した。
 会計検査院は、19年次に行った検査の結果等を踏まえて、都道府県(全47都道府県)及び財政規模等が県等に匹敵する政令指定都市(全18政令指定都市(21年度末現在)。以下「政令市」という。)を対象として、これらの都道府県及び政令市(以下、これらを合わせて「都道府県市」という。)における国庫補助事業に係る事務費等の経理の状況について、20年次から22年次までの3か年にわたり、表1のとおり、会計実地検査を行った。その結果、すべての都道府県市において、不適正な経理処理により需用費が支払われた事態又は補助の対象とならない用途に需用費、賃金若しくは旅費が支払われた事態が見受けられた。

表1 65都道府県市における会計実地検査の状況
区分 平成20年次 21年次 22年次
都道府県 北海道、京都府、青森、岩手、福島、栃木、群馬、長野、岐阜、愛知、和歌山、大分各県 大阪府、秋田、山形、茨城、埼玉、千葉、富山、石川、福井、山梨、三重、滋賀、奈良、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、熊本、鹿児島、沖縄各県 東京都、宮城、(千葉)注(2) 、神奈川、新潟、静岡、兵庫、佐賀、長崎、宮崎各県
小計 12 26 9(10)
政令市 千葉、大阪両市 札幌、仙台、さいたま、横浜、川崎、新潟、静岡、浜松、名古屋、京都、堺、神戸、岡山、広島、北九州、福岡各市
小計 2 16
合計 12道府県 28府県市 25(26)都県市
注(1)
 政令市は平成21年度末現在
注(2)
 千葉県  千葉県については、平成21年次において、15年度から19年度までの国庫補助事業に係る事務費等について会計実地検査を行い、その検査結果を平成20年度決算検査報告に不当事項として掲記したが、その後、同県が行った内部調査において、20年度の事務費等についても多額の不適正な経理処理の事態が判明したことから、22年次に同県に対して改めて会計実地検査を行い、20年度の国庫補助事業に係る事務費等について検査を行った。