1件 不当と認める国庫補助金 6,842,000円
情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金は、地域の知恵と工夫を生かし、地域の人材を活用して、情報通信技術(以下「ICT」という。)を導入・活用することにより、地域雇用の創出とともに、地域における公共サービスの向上を図るための事業を行う事業主体に対して、事業の実施に要する経費について交付されるものである。そして、その交付対象経費は、サーバ、ネットワーク機器、情報通信端末等のICT関連機器・設備の整備等に要する経費とされている。
本院が総務本省、1県、3市、1一部事務組合、5連携主体、6第三セクター及び10特定非営利活動法人において会計実地検査を行ったところ、1特定非営利活動法人において次のとおり適切でない事態が見受けられた。
交付金事業者 (事業主体) |
交付金事業 | 年度 | 交付対象事業費 | 左に対する交付金交付額 | 不当と認める交付対象事業費 | 不当と認める交付金相当額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(1) | 特定非営利活動法人すずらんの会ネットワーク | 情報通信技術地域人材育成・活用事業交付金 | 22 | 78,243 | 78,243 | 6,841 | 6,842 | 補助の対象外 |
この交付金事業は、特定非営利活動法人すずらんの会ネットワーク(静岡県沼津市所在)が、健康維持・増進による地域住民の健康寿命の向上を目的として、地域住民が自宅等において測定した血圧、体重、歩数等のデータを携帯電話、情報端末等を利用して簡易に登録する健康管理システムや、高齢者等が転倒して骨折しないように筋力トレーニングをしたり、認知症を予防したりなどするための映像を高齢者向けに配信する介護予防システムの整備等を行ったものである。
そして、同法人は、本件交付金事業を実施するに当たり、自動体外式除細動器、心電計及びバイタルセンサ(注)
をそれぞれ2台ずつ、計6台購入して、これらの機器の購入に要した経費計6,841,720円を交付対象事業費に含めていた。
しかし、これらの機器は、測定したデータが上記の健康管理システム等に登録されないなど、同システムと連携して用いられるものではないことから、ICT関連機器・設備に該当せず、交付の対象とはならないものである。
したがって、前記の機器の購入に要した経費計6,841,720円に係る交付金相当額6,842,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同法人において本件交付金事業の対象となる経費についての検討が十分でなかったこと、総務本省において本件交付金事業の審査及び確認並びに同法人に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。