特別交付税の交付の対象となる経費の算定に当たり、算定の対象とならない経費を含めていたなどのため、特別交付税が過大に交付されていたもの

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（１１）—（１６）　特別交付税の交付の対象となる経費の算定に当たり、算定の対象とならない経費を含めていたなどのため、特別交付税が過大に交付されていたもの

１　特別交付税の概要

　総務省は、地方交付税法（昭和２５年法律第２１１号）に基づき、普通交付税の算定方法によっては捕捉されなかった特別の財政需要がある地方団体に特別交付税を交付している。特別交付税の額の算定方法は、特別交付税に関する省令（昭和５１年自治省令第３５号。以下「省令」という。）において、特別の財政需要として算定の対象となる事項（以下「算定事項」という。）ごとに定められている。
　市町村は、当該市町村に該当する算定事項ごとに財政需要に関する基礎資料（以下「算定資料」という。）等を作成して、都道府県に提出している。そして、都道府県は、管内市町村から提出された算定資料等の審査を行って総務省に送付し、総務省は、送付された算定資料等の金額に所定の係数を乗ずるなどして地方団体に交付すべき特別交付税の額を算定することとされている。
　省令、算定資料の記載要領等（以下「省令等」という。）によれば、特別交付税の算定事項の経費の算定に当たっては、市町村が負担する額に基づくことなどとされ、国庫補助金等の交付対象となる事業に市町村が併せて交付する補助金等を経費として算定の対象とすることとなっている。

２　検査の結果

　本院は、合規性等の観点から、特別交付税の額が適正に算定されているかに着眼して、総務本省及び１７府県の２２２市町村において、平成１９年度から２３年度までの間に交付された特別交付税を対象として、特別交付税の算定資料等により会計実地検査を行った。
　検査の結果、３県の６市町村に交付された特別交付税計１３,００３,８８８,０００円のうち、算定事項の経費の算定に当たり、算定の対象とならない経費を含めていたなどのため、特別交付税計１０９,６４０,０００円が過大に交付されていて不当と認められる。
　このような事態が生じていたのは、市町村において省令等の理解が十分でなかったこと、県において算定資料等の審査が十分でなかったこと、総務省において地方団体に対する省令等の周知徹底が十分でなかったことなどによると認められる。
　前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

＜事例＞

　宮崎県東臼杵郡椎葉村は、平成２２年度に、国が地方バス路線の運行維持を目的として交付するバス運行対策費補助金の交付対象となる路線に対して、同村が国の補助金等と併せてバス事業者に補助金を交付するなどのため、特別の財政需要が生ずるとして、その経費を４６,２２７,０００円とする算定資料等を宮崎県に提出するなどして、地方バス路線の運行維持に要する経費に係る特別交付税３６,９８２,０００円を含む特別交付税５２５,５９０,０００円の交付を受けていた。
　しかし、同村が経費を負担している路線には国のバス運行対策費補助金の交付対象となっている路線がなく、同村は、国の補助金等と併せて交付する補助金がないのに、誤って、同補助金として、同村がバスを直接運行している路線の経費等に係る予算額１８,２５１,０００円を含めるなどして上記の経費を算定していた。
　したがって、適正な経費に基づいて特別交付税を算定すると２１,４４４,０００円となることから、特別交付税１５,５３８,０００円が過大に交付されていた。
　以上を県別・交付先別に示すと次のとおりである。

	県名	交付先	算定事項	年度	特別交付税交付額	過大に交付された特別交付税の額	摘要
					千円	千円
（11）	島根県	松江市	地方バス	21、22	4,550,869	12,147	算定方法を誤るなどしていたもの
（12）	同	安来市	同	19〜23	6,272,056	62,593	算定の対象とならない経費を含めていたもの
（13）	福岡県	宮若市	地理情報システム	19	783,083	7,791	同
（14）	宮崎県	児湯郡 高鍋町	地方バス	21	175,824	6,142	同
（15）	同	東臼杵郡 椎葉村	同	22	525,590	15,538	算定の対象とならない経費を含めるなどしていたもの
（16）	同	東臼杵郡 美郷町	同	21	696,466	5,429	同
（11）—（16）の計					13,003,888	109,640