会計名及び科目
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一般会計 | (組織)外務本省 | (項)領事政策費 | |
(平成19年度は、 | (項)外務本省) | |||
部局等
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外務本省
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契約の概要
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都道府県や在外公館等が旅券発給事務を行う際に必要なIC旅券用書込機の障害復旧や修理等の保守業務を行うもの
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契約の相手方
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株式会社東芝
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契約
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平成19年4月、20年4月、21年4月、22年4月、23年4月
随意契約 |
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上記契約に係る支払額
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7083万余円 | (平成19年度〜23年度) | ||
節減できた保守費の支払額
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7011万円 | (平成19年度〜23年度) |
外務省は、平成18年3月から、冊子の中に名義人の顔写真等の電子データを記録したICチップを内蔵した旅券(以下「IC旅券」という。)を発行している。
そして、外務省は、IC旅券を発行するため、都道府県の旅券事務所、在外公館等において使用している入力機及び印刷機からなる旅券作成機を更新するに当たり、新たにICチップに電子データを記録するIC旅券用書込機(以下「書込機」という。)を印刷機に内蔵したものを配備している。この書込機は、外務省が、16年度に総合評価落札方式による一般競争入札で株式会社東芝(以下「東芝」という。)と契約を締結して、開発したものである。
IC旅券を発行する際には、入力機により旅券の発給申請書から顔写真等の画像情報、氏名、性別、生年月日等を読み取り、その電子データを印刷機により冊子に印刷するとともに、書込機によりICチップに書き込むことになっている。
外務省は、毎年度、東芝との間で書込機442台の保守契約を随意契約により締結している。書込機の保守契約の仕様書によると、東芝は、都道府県の旅券事務所等の国内に配備された書込機(以下「国内用書込機」という。)については、障害発生時に保守要員が現場に赴き復旧作業を行うなどして修理することとなっており、在外公館に配備された書込機(以下「在外用書込機」という。)については、障害発生時に代わりの書込機を外務本省に送付し、故障した書込機を外務本省から引き取り、修理することとなっている。
そして、18年度から23年度までの書込機の保守契約の契約金額は、毎年度、一定額の1416万余円となっており、その内訳は、各年度ともに、国内用書込機192台の保守に係る費用(以下「保守費」という。)が1276万余円、在外用書込機250台の保守費が140万余円となっていた。
本院は、経済性等の観点から、保守契約の契約金額が保守業務の実績に即して支払われているかなどに着眼して、外務本省において、18年度から23年度までの6か年度の書込機の保守契約(契約金額計8499万余円)を対象として、契約関係書類や東芝が毎月外務省に提出することとなっている保守業務の実績を記載した保守報告書等により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
外務省は、各年度の書込機に係る保守契約の契約金額について、保守業務の実績に関係なく、国内用書込機及び在外用書込機の価格にそれぞれ一定の率及び台数を乗ずるなどして1416万余円と算出し、これを東芝に支払っていた。
しかし、保守要員が書込機の保守業務として復旧作業等を行った件数は、国内用書込機では18年度7件、20年度4件、21、22両年度各1件と、6か年度で計13件のみであり、在外用書込機では1件もなかった。
このように、18年度の保守業務の実績が7件と極めて少なかったことから、外務省は、19年度以降において、保守業務に実際に要する費用が保守契約の契約金額を大幅に下回る額になることについて、容易に想定できたと認められた。
したがって、外務省が、書込機の保守契約の締結に当たり、保守業務の実績を考慮することなく、保守業務の実績とかい離した契約金額を支払うこととしている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
保守業務の実績を把握できる19年度から23年度までの書込機の保守費について、人件費単価を外務省が23年度に東芝と締結していた他の機器の保守契約における人件費単価とし、これに実際の業務時間を乗ずるなどして試算すると計71万余円となり、19年度から23年度までの5か年度の保守契約の契約金額計7083万余円を7011万余円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、外務省において、書込機の保守契約の締結に当たり、契約金額を保守業務の実態に即して支払うようにすることについての検討が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、外務省は、24年度の書込機の保守契約から、契約金額を保守業務の実績に即して支払うこととする処置を講じた。