私立学校施設整備費補助金は、私立の大学、短期大学等(以下、これらを合わせて「私立大学等」という。)の教育研究の充実と質的向上を図ることを目的として、私立大学等の教育に必要な装置の整備等に要する経費の一部を国が補助するものである。
この補助金の交付額は、私立学校施設整備費補助金交付要綱(昭和58年文部大臣裁定)等により、教育に必要な装置の整備等に要する経費(以下「補助対象経費」という。)の2分の1以内の額とすることとされている。
そして、教育研究に必要なマルチメディア装置の整備については、事業費が1000万円以上であることが交付の要件とされているが、私立大学等が共同で整備を行う場合は、各私立大学等がそれぞれ交付申請を行い、事業費については整備に要する経費を合理的に案分して算定することとされている。
本院が、14学校法人において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 |
不当と認める補助対象経費 |
不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(35) | 文部科学本省 | 学校法人龍谷大学 | 龍谷大学マルチメディア装置の整備 | 20 | 51,067 | 25,533 | 2,217 | 1,108 | 補助金の過大交付 |
学校法人龍谷大学は、本件補助事業を平成20年度に実施しており、龍谷大学におけるマルチメディア装置の整備に係る経費を対象として、補助対象経費を51,067,275円(国庫補助金25,533,000円)と算定していた。
しかし、整備された装置の一部は、龍谷大学及び龍谷大学短期大学部が共同で利用するものであるのに、同法人は、補助対象経費を両校で案分して算定していなかった。
したがって、補助対象経費を両校の学生数に基づいて案分して算定すると、龍谷大学短期大学部に係る補助対象経費は1000万円を下回り交付の要件を満たさないことから、本件補助事業に係る適正な補助対象経費は48,850,134円(国庫補助金24,425,000円)となり、国庫補助金1,108,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同法人において補助対象経費の算定方法に対する理解が十分でなかったこと、文部科学省において交付申請書等に対する審査が十分でなかったことによると認められる。