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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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 地域科学技術振興事業費補助金が過大に交付されていたもの


(7) 地域科学技術振興事業費補助金が過大に交付されていたもの

1件 不当と認める国庫補助金 1,176,181円

 地域科学技術振興事業費補助金は、地域における科学技術振興の推進に資することを目的として、公益性の認められる財団法人等が行う知的クラスター創成事業及び都市エリア産学官連携促進事業に対して、その必要な経費を国が補助するものである。
 このうち、知的クラスター創成事業は、知的創造の拠点となる大学、公的研究機関等を中心とした関連研究機関、研究開発型企業等が集積する研究開発能力の拠点(知的クラスター)の創成を図るものである。
 補助金の交付額は、「地域科学技術振興事業費補助金交付規則」(平成14年文科科第135号)等により、研究に使用する消耗品等(以下「研究用物品」という。)の購入費、研究に係る委託費等を補助対象経費として、1事業当たり年間7億円を上限とするなどした上で、その全額を補助することとなっている。
 本院が、1法人において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。

部局等 補助事業者
(事業主体)
補助事業 年度 補助対象経費

左に対する国庫補助金交付額

不当と認める補助対象経費

不当と認める国庫補助金 摘要
千円 千円 千円 千円  
(38) 文部科学本省 財団法人長野県テクノ財団(注) 知的クラスター創成 18 586,331 586,331 1,176 1,176 不適正な経理処理
 平成24年4月1日以降は公益財団法人長野県テクノ財団

 財団法人長野県テクノ財団(以下「長野県テクノ財団」という。)は、本件補助事業を平成18年度に実施しており、補助事業の一部である研究開発を学校法人松本歯科大学(以下「松本歯科大学」という。)に委託し、補助金を財源として18年度に委託費9,700,000円(うち一般管理費相当額22,890円)を支払っていた。そして、松本歯科大学は、委託された研究開発を実施した研究者Aから、研究用物品が計1,172,850円で納入されたとする納品書、請求書等の提出を受けて、その購入代金を業者に支払っていた。
 しかし、研究者Aは、業者に架空の取引を指示して虚偽の納品書、請求書等を作成させ、これにより松本歯科大学に上記の購入代金を支払わせて、これを業者に預けて別途に経理するなどしていた。
 したがって、前記の研究用物品の購入代金及びこれに係る一般管理費相当額の合計1,176,181円は、受託した研究開発に要した経費とは認められず、これに係る国庫補助金計1,176,181円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、研究者Aにおいて、補助金の原資は税金等であるにもかかわらず事実に基づく適正な会計経理を行うという基本的な認識が欠けていたこと、松本歯科大学において、研究用物品の納品検査等が十分でなかったこと、長野県テクノ財団において、委託先での事業の実施状況の把握が十分でなかったこと、及び文部科学省において、研究者、大学等に対して補助金の不正使用の防止について必要な措置の導入や指導を行っていたものの、その周知徹底が十分でなかったことによると認められる。