ページトップ
  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 役務

港湾労働者就労確保支援事業の実施に当たり、委託事業以外の業務に従事していた職員に係る人件費を委託対象経費に計上するなどしていたため、委託費の支払額が過大となっていたもの


(45) 港湾労働者就労確保支援事業の実施に当たり、委託事業以外の業務に従事していた職員に係る人件費を委託対象経費に計上するなどしていたため、委託費の支払額が過大となっていたもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定)  (項)地域雇用機会創出等対策費
部局等 厚生労働本省
契約名 港湾労働者就労確保支援事業委託(平成20、21両年度)
契約の概要 港湾運送事業主や港湾労働者に対する相談援助、港湾荷役やクレーン運転等に関する各種講習等の実施
契約の相手方 財団法人港湾労働安定協会(平成24年4月1日以降は一般財団法人港湾労働安定協会)
契約 平成20年4月、21年4月 随意契約
支払額 286,275,171円 (平成20、21両年度)
過大となっていた支払額 26,679,354円 (平成20、21両年度)

1 委託事業の概要

(1) 委託事業の概要

 厚生労働本省(以下「本省」という。)は、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図ることを目的として、平成20、21両年度に、財団法人港湾労働安定協会(24年4月1日以降は一般財団法人港湾労働安定協会。以下「協会」という。)に対して、港湾労働者就労確保支援事業(以下「委託事業」という。)の実施を委託している。
 この委託事業は、港湾運送事業主や港湾労働者に対する相談援助、港湾荷役やクレーン運転等に関する各種講習(以下、この各種講習を「技能講習」という。)等を実施するものである。

(2) 委託費の対象経費及び委託費の精算等の手続

 委託事業に係る委託費の対象経費(以下「委託対象経費」という。)は、委託事業に従事した協会の職員に係る人件費、相談援助業務や技能講習業務に要した管理費、旅費等の委託事業に要した経費であり、委託事業の委託要綱等によると、協会は、委託費の経理について、委託事業の実施経過並びに当該事業の実施に伴う収入及び支出の状況を明らかにするため、委託事業に係る会計を他の経理と区分して帳簿等を整備することとされている。また、協会は、委託事業が終了したときは、事業の成果等を記載した委託事業実施結果報告書及び当該事業に要した経費、事業の実施に伴い生じた収入等を記載した委託事業費精算報告書(以下、これらを合わせて「精算報告書等」という。)を本省に提出することとされている。そして、本省は、提出を受けた精算報告書等について審査を行い、委託費の額を確定して精算することとしている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、本省及び協会において、合規性等の観点から、精算報告書等に委託費として計上されている経費の内容は適切か、委託事業の実施に伴う収入は適正に計上されているかなどに着眼して、協会に支払われた委託費を対象として、精算報告書等の関係書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 本省は、20、21両年度の委託費について、協会から提出された精算報告書等の内容の審査を行い、委託費の額を計286,275,171円と確定して精算していた。
 しかし、協会は、委託対象経費の算定に当たり、委託事業以外の業務に従事するなどしていた職員に係る人件費計47,826,026円を計上したり、委託事業として実施した技能講習の開催に際して参加者から受講料計79,394,777円を徴収していたにもかかわらず、これを本件委託事業に係る会計以外の他の経理に区分して精算報告書等に計上しなかったりなどしていた。
 したがって、委託事業以外の業務に従事するなどしていた職員に係る人件費を除き、また、技能講習における受講料収入を控除するなどして20、21両年度の適正な委託費の額を算定すると計259,595,817円となり、前記の委託費の額計286,275,171円との差額計26,679,354円が過大に支払われていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、協会において、委託費の適正な会計経理に対する認識が欠けていたこと、また、本省において、協会から提出された精算報告書等の審査及び確認並びに委託事業の適正な執行に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。