次世代育成支援対策交付金(以下「交付金」という。)は、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)に基づき、地域における子育ての支援、母性及び乳幼児の健康の確保等の次世代育成支援対策の着実な推進を図ることを目的として、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が5年を一期として策定する「次世代育成支援対策の実施に関する計画」により毎年度策定する事業計画に掲げる延長保育促進事業等の実施に要する経費について、その一部を国が交付するものである。
交付金の交付額は、交付要綱等において、市町村が事業計画に掲げる事業について、事業ごとの事業量に応ずるなどして定められた基準点数により算出された合計点等を基に厚生労働大臣が認めた額と、市町村が実施した各事業の総事業費の合計額から寄附金その他の収入額の合計額を控除した額に2分の1を乗じた額(以下「国庫補助基本額」という。)とを比較して、少ない方の額とすることとなっている。
交付金の交付対象事業のうち延長保育促進事業は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する市町村以外の者が設置する保育所(以下「民間保育所」という。)において開所時間を超えた保育を行うことにより、就労形態の多様化等に伴う延長保育の需要に対応することを目的とするものである。
本院が、9府県の14市町において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 県名 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 国庫補助基本額 | 厚生労働大臣が認めた額 | 交付金交付額 |
不当と認める総事業費 |
不当と認める交付金交付額 |
摘要 |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(135) | 厚生労働本省 | 茨城県 | 潮来市 | 18〜21 | 78,189 | 81,258 | 77,973 | 8,119 | 3,844 | 総事業費を過大に計上していたもの |
潮来市は、延長保育促進事業を同市の補助事業として民間保育所において実施しており、交付要綱等に準じて同市が定めた当該事業の基準額と当該事業の補助対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を交付することとしている。
しかし、同市は、平成18年度から21年度までの間に7民間保育所において実施した延長保育促進事業の総事業費について、保育所ごとに基準額と補助対象経費の実支出額とを比較して少ない方の額を選定するなどして計148,260,530円とすべきところ、7保育所分の基準額を合計して計156,379,718円としていた。
この結果、当該事業の総事業費が計8,119,188円過大に算定されており、このため、国庫補助基本額が過大に算定されていて、適正な国庫補助基本額に基づいて交付金の交付額を算定すると計74,129,000円となることから、交付金交付額計77,973,000円との差額計3,844,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、延長保育促進事業における総事業費の計上の際の調査確認が十分でなかったこと、厚生労働省において、同市に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。