厚生労働省は、国民健康保険組合(以下「国保組合」という。)に対して、国民健康保険事業運営の安定化を図るため療養給付費補助金を交付しており、国保組合は、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)に基づき、都道府県知事の認可を受けた規約において定めた同種の事業又は業務に従事する者を組合員として組織することとなっている。しかし、医師、歯科医師及び薬剤師の国保組合(以下「三師国保組合」という。)において、組合員であるためにはそれぞれの事業又は業務に従事する必要があることが明確になっていなかったり、組合員が診療所等の休止又は廃止を届け出た後も引き続き組合員となっていたりしている事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、三師国保組合に対して、国保組合は同種の事業又は業務に従事する者を組合員として組織する必要があることの徹底を図るとともに、組合員が休廃止を届け出た後におけるそれぞれの事業又は業務への従事の状況を適時的確に把握して組合員資格の管理を適切に行うように指導するよう、厚生労働大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、組合員資格の適正な取扱いが行われるよう、24年3月に国保組合を指導監督する都道府県に対して通知を発して、次のような処置を講じていた。
ア 同種の事業又は業務に従事する者を組合員として組織する必要があることの徹底を図るために、各国保組合において、組合規約を改正して、厚生労働省が同月に策定した指針を参考として同種の事業又は業務に従事する者について実情に応じた判定基準を定めることとした。
イ 各国保組合は、国保組合へ加入した後の組合員の組合員資格について、上記の判定基準に基づき定期的に客観的な証拠書類による確認を行うこととした。