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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 役務|
  • 補助金

委託事業及び補助事業において、従事者に対して実際に支給した給与の額等に基づかずに人件費等を算定するなどしていたため、委託費の支払額及び補助金の交付額が過大となっていたもの


(195) 委託事業及び補助事業において、従事者に対して実際に支給した給与の額等に基づかずに人件費等を算定するなどしていたため、委託費の支払額及び補助金の交付額が過大となっていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農村振興費等
 

食料安定供給特別会計(国営土地改良事業勘定)(平成19年度以前は、国営土地改良事業特別会計) (項)土地改良事業費等

部局等 農林水産本省、93地方農政局等

〈役務〉

 
契約名 上川地域田んぼの生きもの調査取りまとめ委託業務等359契約
契約の概要 水田周辺地域の生態系の現状を把握し、より良い水田生態系を保全・形成する手法の作成に役立てるための、田んぼの生きもの調査の結果についての取りまとめの実施等
契約の相手方

社団法人農村環境整備センター(平成23年4月1日以降は社団法人地域環境資源センター)

契約 平成16年7月ほか 契約359件(随意契約)
支払

平成17年4月ほか

支払額 3,096,299,782円 (平成16年度〜20年度)

過大となっていた支払額(1)

368,058,594円 (平成16年度〜20年度)

〈補助金〉

 
補助の根拠 予算補助
補助事業者

社団法人農村環境整備センター(平成23年4月1日以降は社団法人地域環境資源センター)

補助事業 平成16年度農村環境整備適正技術開発事業等20事業
補助事業の概要 環境保全等に配慮した農村の環境技術の開発等
上記の補助事業に対する国庫補助金交付額 778,264,000円 (平成16年度〜20年度)

不当と認める国庫補助金相当額(2)

54,082,747円 (平成16年度〜20年度)
(1)及び(2)の計 422,141,341円 (平成16年度〜20年度)

1 委託事業等の概要

 農林水産本省(以下「本省」という。)、地方農政局、農業水利事務所等(以下、これらのうち本省を除いて「地方農政局等」という。)は、平成16年度から20年度までの間に、水田周辺地域の生態系の現状を把握し、より良い水田生態系を保全・形成する手法の作成に役立てるなどのために、社団法人農村環境整備センター(23年4月1日以降は社団法人地域環境資源センター。以下「センター」という。)に、上川地域田んぼの生きもの調査取りまとめ委託業務等369件の委託事業を実施させており、委託契約に基づき、委託費として計3,184,684,291円を支払っている。また、本省は、上記5か年度の間に、農村環境整備適正技術開発事業等20件の補助事業を実施させるために、農村環境整備適正技術開発事業等補助金交付要綱(平成4年4構改D第679号農林水産事務次官依命通達。以下「交付要綱」という。)等に基づき、センターに対して農村環境整備適正技術開発事業補助金等20件、計778,264,000円を交付している。
 本省及び地方農政局等は、当該委託契約及び交付要綱等に基づき、委託事業及び補助事業(以下、これらを合わせて「委託事業等」という。)が終了し、センターから委託事業等の成果が記載された実績報告書等の提出を受けたときは、当該委託事業等が委託契約や補助金の交付決定の内容等に適合するものであるかどうかについて審査、確認等を行っている。その結果、適合すると認めたときは、委託契約で定めた委託費の限度額又は国庫補助金の交付決定額とセンターが委託事業等に要した経費の実支出額とのいずれか低い額を委託費の額又は国庫補助金の額として確定し、センターに支払うこととしている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、委託事業等に係る人件費等の算定は適正かなどに着眼して、本省及びセンターにおいて、前記の委託事業369件及び補助事業20件を対象として、委託契約書、実績報告書等の関係書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、センターが16年度から20年度までの間に本省、93地方農政局等(注) から委託を受けて実施した委託事業359件(委託費支払額計3,096,299,782円)及びセンターが16年度から20年度までの間に本省から国庫補助金の交付を受けて実施した補助事業20件(国庫補助金交付額計778,264,000円)において、次のとおり、適正とは認められない事態が見受けられた。

ア 委託事業等に従事した者(以下「従事者」という。)に対して実際に支給した給与等の合計額を基に算定される単価を上回る単価に基づき人件費を算定したり、超過勤務手当の支給対象とならない管理職等の従事者が所定労働時間外に委託事業等に従事した場合に超過勤務手当相当額を含めて当該従事者の人件費を算定したりして実績報告書に計上していた。そのため、従事者が同一年度に複数の委託事業等に従事した場合に複数の委託事業等の実績報告書に計上されていた当該従事者に係る人件費を合計すると、その額が、センターからその年度に当該従事者に対して実際に支給されていた給与等の合計額を超えていた。

イ 従事者が対象事業以外の業務に従事していた日数や休暇を取得していて委託事業等に従事しなかった日数を委託事業等に従事した日数に含めたり、超過勤務整理簿等で勤務実態が確認できない超過勤務時間を委託事業等に従事した時間に含めたりして人件費を算定して実績報告書に計上していた。

ウ 委託事業の契約期間外の日数や補助事業の交付決定前に従事した日数を委託事業等に従事した日数に含めて人件費を算定して実績報告書に計上していた。

 以上のことなどから、前記の委託事業359件及び補助事業20件に係る人件費等の額は、センターが従事者に対して実際に支給した給与の額等に基づいて算定されたものとはなっておらず、本省、93地方農政局等は、このような実支出額と異なる内容となっている実績報告書に基づいて委託費の支払及び国庫補助金の交付を行っていた。
 したがって、センターが従事者に対して実際に支給した給与の額等に基づき人件費等を算定するなどして適正な委託費及び国庫補助金の額を算定すると、それぞれ計2,728,241,188円、計724,181,253円となることから、前記の委託費支払額との差額368,058,594円、前記の国庫補助金交付額との差額54,082,747円(国庫補助金相当額)、計422,141,341円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、センターにおいて委託事業等に係る適正な人件費等の算定についての認識が欠けていたこと、本省、93地方農政局等において委託事業等の実績報告書等に対する審査及び確認並びにセンターに対する指導が適切でなかったことなどによると認められる。

 93地方農政局等  東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州各農政局、会津(平成17年4月廃止)、大崎(22年4月廃止)、津軽、霞ヶ浦用水(21年4月廃止)、大和紀伊平野、宮崎(17年4月廃止)、曽於(21年4月廃止)、筑後川下流各農業水利事務所、四国東部農地防災事務所、阿武隈、西奥羽、北奥羽、北上、利根川水系、信濃川水系、西北陸、淀川水系、四国、南部九州各土地改良調査管理事務所、東北、関東、東海、中国四国各農政局土地改良技術事務所、諫早湾干拓事務所(20年4月廃止)、沖縄総合事務局土地改良総合事務所、隈戸川(23年4月廃止)、最上川下流沿岸(24年4月廃止)、新安積(21年4月廃止)、相坂川左岸(19年4月廃止)、馬淵川沿岸(24年4月廃止)、平鹿平野、米沢平野、和賀中部、安曇野(18年4月廃止)、神流川沿岸、大井川用水、中信平二期、那珂川沿岸、北総中央、両総、阿賀野川右岸(19年4月廃止)、九頭竜川下流、佐渡、新川流域、柏崎周辺、宮川用水第二期、新矢作川用水(24年4月廃止)、新愛知川(18年4月廃止)、新湖北(22年4月廃止)、東伯(19年4月廃止)、道前道後平野(20年4月廃止)、斐伊川沿岸、沖永良部、肝属中部、西諸、曽於北部、都城盆地(23年4月廃止)、尾鈴、伊江、伊是名(21年4月廃止)、羽地大川(19年4月廃止)、沖縄本島南部(18年4月廃止)各農業水利事業所、いさわ南部(23年4月廃止)、豊北(20年4月廃止)両農地整備事業所、中海干拓建設事業所(23年4月廃止)、大里(19年4月廃止)、渡良瀬川中央(23年4月廃止)、常願寺川沿岸(21年4月廃止)、石川(19年4月廃止)、白根郷(21年4月廃止)、新濃尾、巨椋池(19年4月廃止)、大和平野(19年4月廃止)、野洲川沿岸(22年4月廃止)、香川(21年4月廃止)、児島湖沿岸(19年4月廃止)、那賀川、佐賀中部(23年4月廃止)各農地防災事業所、有明海岸保全事業所、上越(18年4月廃止)、高知三波川帯(24年4月廃止)両農地保全事業所、北海道開発局札幌、函館、旭川、釧路、帯広各開発建設部