仮設型直売システム普及事業は、仮設型直売システム普及事業実施要領(平成21年21総合第362号農林水産省総合食料局長通知。以下「実施要領」という。)等に基づき、大都市においてテント等を用いた仮設型直売施設による国産農産物の直売等を実施する事業主体に対して支援を行うものである。
そして、実施要領等によると、当該補助事業の補助対象経費は、事業の実施に要する会場の設営及び撤去、出店者の管理、販売促進、事業の管理等の経費となっていて、事業に直接必要な経費に限ることとされている。また、人件費については、実際の給与額等によることとなっている。
本院が、12事業主体において会計実地検査を行ったところ、2事業主体において、国庫補助対象事業費を過大に精算したり、国庫補助対象事業費に補助の対象とならない経費を含めたりしていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2事業主体において、本件補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、農林水産本省において、本件補助事業の審査及び確認が十分でなかったこと並びに2事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(214) | 農林水産本省 | 株式会社TBSテレビ (事業主体) |
— | 仮設型直売システム普及 | 21 | 141,125 | 115,681 | 55,353 | 29,909 |
株式会社TBSテレビは、本件補助事業を事業費141,125,517円(国庫補助対象事業費同額)で実施したとして、国庫補助金115,681,494円の交付を受けていた。
しかし、同会社は、国庫補助対象事業費に、自社が所有する会場を使用したため実際には支出していない会場の使用料を含めたり、深夜作業に伴う帰宅時のタクシー利用料等の本件補助事業の実施に直接必要のない経費を含めたりしていた。また、同会社は、人件費を本件補助事業に従事した職員の実際の給与額等ではなく、役職等に応じて別に定めた単価により算定していた。
したがって、自社が所有する会場を使用したため実際には支出していない会場の使用料を除くなどして適正な国庫補助対象事業費を算定すると85,772,485円となり、前記の国庫補助対象事業費141,125,517円との差額55,353,032円が過大に精算されるなどしていて、これに係る国庫補助金相当額計29,909,009円が不当と認められる。
(215) | 農林水産本省 | 日本通運株式会社名古屋旅行支店 (事業主体) |
— | 仮設型直売システム普及 | 21 | 72,956 | 70,000 | 6,395 | 3,438 |
日本通運株式会社名古屋旅行支店は、本件補助事業を事業費72,956,889円(補助対象事業費同額)で実施したとして、国庫補助金70,000,000円の交付を受けていた。
しかし、同支店は、国庫補助対象事業費に、実際には支出していない管理職に対する時間外手当を含めたり、職員の住居に係る家賃等の本件補助事業の実施に直接必要のない経費を含めたりなどしていた。
したがって、実際には支出していない管理職に対する時間外手当を除くなどして適正な国庫補助対象事業費を算定すると66,561,366円となり、前記の国庫補助対象事業費72,956,889円との差額6,395,523円が過大に精算されるなどしていて、これに係る国庫補助金相当額計3,438,634円が不当と認められる。
(214)(215)の計 | 214,082 | 185,681 | 61,748 | 33,347 |