部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(219) | 農林水産本省 | 地方競馬全国協会 | 日高軽種馬農業協同組合 (事業主体) |
馬流通活性化 | 22、23 | 316,999 | 300,872 | 10,045 | 5,859 |
馬流通活性化事業は、地方競馬全国協会(以下「協会」という。)が、馬産地再活性化緊急対策事業実施要綱(平成21年21生畜第439号農林水産事務次官依命通知。以下「実施要綱」という。)等に基づき、馬産地の再活性化に向けた取組を支援するために、競走用馬の流通活性化を図るための計画を策定して、これに基づき、〔1〕 軽種馬(注)
取引市場の情報発信のための取組(以下「情報発信のための取組」という。)、〔2〕 軽種馬取引市場に上場する競走用馬の情報開示のための取組(以下「情報開示のための取組」という。)等を行う農業協同組合等に対して、これらの取組等に必要な経費を助成する事業(以下「助成事業」という。)である。
そして、農林水産省は、助成事業の実施に必要な資金の財源に充てるために、協会に対して国庫補助金を交付して基金を造成させており、協会は、実施要綱等に基づき、この基金を取り崩して農業協同組合等に対して助成を行っている。
本院が、日高軽種馬農業協同組合(以下「日高農協」という。)において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
ア 日高農協は、情報発信のための取組として、平成21年度に、馬の購買者等が自宅等でインターネットにより四肢のレントゲン検査等の馬体検査の結果(以下「馬体検査情報」という。)を閲覧できるようにするためのシステムを構築した。そして、このシステムを使用して馬体検査情報を提供するために、22年度に、車両に搭載可能なレントゲン検査機器等2組とこれらを搭載して移動するための車両2台の購入を事業費32,254,400円(助成対象事業費同額)で実施したとして、協会に実績報告書を提出して、これにより助成金16,127,200円の交付を受けていた。
しかし、上記の機器等には、馬体検査情報のインターネットによる提供には使用されないレントゲン画像をフィルムに出力する装置2台(購入費相当額計8,373,889円)が含まれていた。
したがって、上記の装置2台を除いて適正な助成対象事業費を算定すると23,880,511円となり、前記の助成対象事業費32,254,400円との差額8,373,889円が過大に精算されていた。
イ 日高農協は、情報開示のための取組等として、22、23両年度に、軽種馬の上場に当たり馬体検査情報を公開する生産者に対して馬体検査に要する経費の一部を助成するなどの奨励金の交付を事業費計284,745,179円(助成対象事業費同額)で実施したとして、協会に実績報告書を提出して、これにより助成金計284,745,179円の交付を受けていた。
農林水産省生産局長の承認を受けて協会が定めた馬産地再活性化緊急対策事業業務規程(平成21年21地全協畜第39号)によると、情報開示のための取組のうちレントゲン検査等に対する助成の範囲は、検査機関において検査を受けた際に要する経費の2分の1相当額以内で、協会が地域の検査料金の水準を考慮して、地域ごとに定める1頭当たりの額(以下、この額を「奨励金支給単価」という。)を上限にすることとされている。
しかし、日高農協は、軽種馬の上場を行った生産者から奨励金の交付の申請があった場合、実際に検査に要した経費の2分の1相当額が奨励金支給単価(1歳馬1頭当たり29,500円等)を下回っていても、生産者に対して上限である奨励金支給単価により奨励金を交付していた。
したがって、奨励金支給単価を上限に、実際に検査に要した経費の2分の1に相当する額を奨励金の交付額として適正な助成対象事業費を算定すると計283,073,095円となり、前記の助成対象事業費計284,745,179円との差額計1,672,084円が過大に精算されていた。
上記のア及びイにより、助成対象事業費計10,045,973円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額計5,859,028円(アに係るもの4,186,944円、イに係るもの1,672,084円)が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、日高農協において助成事業に対する理解が十分でなかったこと、協会において実績報告書の審査及び確認並びに日高農協に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。